【Q&A】「起訴」と「略式起訴」とは?
「起訴」――。事件報道や刑事ドラマなどで耳にするものの、具体的にどのような手続きを指すのか分かりにくい言葉の一つかもしれません。また、起訴には公開裁判につながるものと、より簡易的な手続きを求める「略式起訴」があります。どう違うのでしょうか。刑事訴訟法や法務省の公式サイトなどを基に解説します。
Q:「起訴」って何?
刑事事件で容疑者(被疑者とも呼ばれます)が罪を犯したことを示す証拠が十分にある、と検察が判断した際、裁判所に対して審判を求めます。これを「起訴」と言います。起訴後、容疑者は「被告」と呼ばれるようになります。 起訴するため、検察官は被告の名前、被告が犯したと疑われる犯罪事実、罪名などが記載された「起訴状」を裁判所に提出する必要があります。 一方、捜査の結果、起訴をしないと判断することもあり、これは「不起訴」と言います。
Q:起訴される容疑者はみんな捕まっているの?
そうとも限りません。 事件報道では、容疑者が身柄を拘束されているイメージがあるかも知れません。しかし、そもそも警察など捜査機関に身柄を拘束されない「書類送検」という対応が取られる場合もあります。また、一度逮捕された容疑者も、逃亡や証拠隠滅の恐れがないと判断されれば起訴時点で勾留(こうりゅう)されていないことがあります。勾留されていない状態での起訴は「在宅起訴」と言われます。
Q:起訴されたら法廷で裁判にかけられるの?
いいえ、必ずしも法廷で裁判が開かれる訳ではありません。 起訴には、公開された法廷での裁判を求める「公判請求」と、法廷を開かずに書面による審査など簡易的な裁判手続きを求める「略式命令請求」があります。報道では前者を「起訴」、後者を「略式起訴」と表現します。
Q:略式起訴って何?
文字通り、起訴手続きを省略して処分を決める方法のことです。簡易裁判所(簡裁)が扱っており、いわゆる法廷での裁判は開かれません。簡裁は検察官から提出された資料などを審理し、原則として略式起訴の日から14日以内に略式命令を出します。 比較的軽微で、100万円以下の罰金などに相当する事件が対象です。検察官は略式起訴を請求する前に、容疑者から手続きを省略することについて同意を得る必要があります。この点も公判請求とは異なります。 簡裁から略式命令を受けた後には、罰金などを納付して手続きを終わらせるか、不服がある場合には命令後2週間以内に不服を申し立てることができます。