カネを使いまくったのは? 欧州、夏の移籍金総支出ランキング1~10位。最もバブリーだったクラブとは?
9位:トッテナム(プレミアリーグ/イングランド)
総支出額:1億4885万ユーロ(約238億1600万円) 移籍金最高額:ドミニク・ソランケ(6400万ユーロ/約102億4000万円) 9位にはトッテナムがランクインした。その総支出額は1億4800万ユーロ(約236億8000万円)である。 大エースであったハリー・ケイン退団後、トッテナムは純粋なストライカーを欲していた。そのため、クラブは今夏の移籍市場で6400万ユーロ(約102億4000万円)もの大金を支払ってボーンマスからFWドミニク・ソランケを獲得している。昨季リーグ戦で19ゴールを奪ったソランケは、待望の点取り屋として今後のチームのパフォーマンスを左右する重要な存在となるだろう。 また、トッテナムは中長期的な補強戦略として若手有望株を多数獲得している。今夏にクラブが獲得した選手は合計5人。そのうち、ソランケを除く4人が10代の若手選手である。 なかでも注目は、リーズから加入したMFアーチ―・グレイとスウェーデン1部ユールゴーデンからステップアップしたMFルーカス・べリヴァルだ。前者は本職の中盤だけではなく最終ラインでも起用可能というポリバレント性が魅力的で、後者はジャパンツアーを含めたプレシーズンマッチで印象的な活躍を残しており、どちらも今後の成長が楽しみな逸材である。 就任2年目を迎えるアンジェ・ポステコグルー監督は既存戦力の中にどのように新戦力を組み込んでいくのだろうか。トッテナムはランキングトップ10入りした他クラブと比べて若い選手の補強が多く、新戦力がチームにどのような影響を与えるのか、そしてチームがどんなシーズンを送るのか、良い意味で未知数である。
8位:ナポリ(セリエA/イタリア)
総支出額:1億4950万ユーロ(約239億2000万円) 移籍金最高額:アレッサンドロ・ボンジョルノ(3500万ユーロ/約56億円) 8位にランクインしたのはナポリだ。1億4950万ユーロ(約239億2000万円)を選手獲得につぎ込み、7人の選手をスカッドに組み入れた。 22/23シーズンにスクデットを獲得したナポリだったが、昨季はリーグ10位に沈んだ。特に守備面には課題を抱えており、リーグ戦の失点数が一昨季の28失点から48失点と大幅に増えている。この問題の改善を目指して、クラブはトリノからDFアレッサンドロ・ボンジョルノを3500万ユーロ(約56億円)で獲得した。また、ローマからDFレアンドロ・スピナッツォーラもフリーで獲得。ユーロ2024(EURO2024)でイタリア代表に選出された実力者たちが最終ラインに安定感をもたらすことが期待される。 さらにナポリは中盤・前線のテコ入れにも着手している。中盤の絶対的な選手だったMFピオトル・ジエリンスキがフリーで退団したことを受けて、MFスコット・マクトミネイとMFビリー・ギルモアを獲得。そして攻撃陣にはFWロメル・ルカクが移籍金3000万ユーロ(約48億円)で加入している。ベルギー代表FWはアントニオ・コンテ監督とインテル時代に共闘しており、再びタッグを組む師弟コンビの活躍が楽しみである。 堅実な補強を見せたナポリだったが、その一方で選手の売却という点では課題が残った。今夏選手の売却で得た収入はわずか1150万ユーロ(約18.4億円)であり、大きな売却益が見込まれたFWヴィクター・オシムヘンの売却は失敗に終わっている。 イタリア版『スカイスポーツ』によると、ナポリはアル・アハリ(サウジアラビア)とオシムヘン売却でほぼ合意状態にあったが、ナポリ側が要求額をさらに引き上げたことで交渉は破談になったようである。チェルシーとも給与面の問題で交渉がまとまらず、結局オシムヘンはガラタサライに期限付き移籍。ナポリにとって今夏の移籍市場は後味の悪い形で閉幕した。