スティーブン・キングの名言「…がないのに、どうして書く時間があるのか。」【本と名言365】
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。ホラー小説界の巨人として世界的な人気を誇るアメリカの小説家、スティーブン・キング。約半世紀にもわたる作家人生のなかで、キングが作品を生むために常に意識していたこととは。 【フォトギャラリーを見る】 読む時間がないのに、どうして書く時間があるのか。 名作ホラーに“キング”あり。そう言っても過言ではないほど、モダン・ホラー界の“王”として世界中の映画やドラマに影響を与え、愛されてきた小説家、スティーブン・キング。『キャリー』や『IT』などのモダン・ホラーから、『スタンド・バイ・ミー』や『ショーシャンクの空に』を中心としたヒューマン・ドラマまで、数々の作品が映像化され、映画やドラマを通じて彼の名を知る人も多い。しかし、小説こそキングの真髄。その名作たちを生み出す核は「読書」にある。 「読書は作家の創作活動の中心にある。私はどこにでも本を持っていく。……読むことが何より大事なのは、それによって書くことに親しみを覚え、書くことが楽になるということである。これで、あなたは記載漏れのない資格認定書と身分証明書を持って、作家の国へ移り住むことができる。読書の習慣は、我を忘れて書くことに没頭できる場所へとひとをいざなう」 著書『書くことについて』のなかで、読書の尊さをこう綴ったキング。さまざまな作品を読むことで、美しい語り口や巧妙な物語の成り立ちを知り、自らの文体に磨きをかけることができる。「真空状態からは何も生まれない」とキングが語るように、良い文章を知らずして、それに並ぶものを書くことはできない。モダン・ホラーの先駆者が作家人生を通じて大切にしたのは、良い書き手になる以上に、良い読み手になることだったのだ。
スティーブン・キング
1947年、アメリカ・メイン州生まれ。小説家、ホラー作家。高校教師を経て、1974年に長編小説『キャリー』で小説家デビューを果たす。以後、『呪われた町』や『ミザリー』などベストセラーを次々と生み、モダン・ホラーの旗手となる。O・ヘンリ賞や全米図書賞特別功労賞をはじめ、数々の文学賞を受賞。代表作に『シャイニング』『グリーン・マイル』など。
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