今年こそ! 中日“強竜復活”に期待できるこれだけの理由。最下位脱出の生命線は投手力、懸念はやはり二遊間
昨季は56勝82敗5分けで、球団史上初の2年連続最下位。かつて2002年から4度の優勝を含む11年連続のAクラス(シーズン順位上位)入りを果たした中日ドラゴンズも、ここ10シーズンでのAクラス入りは2020年の1度のみ。それでも「今年こそは去年までとは違う」と言われる理由とは? (文=栗田シメイ、写真=CTK Photo/アフロ)
とにかく点が取れないシーズンだった昨季
立浪和義監督にとっては、3年契約のラストイヤーとなった今シーズン。球団関係者からは、「今年は去年までとは違うぞ」というポジティブな声もほうぼうから聞こえてくる。例年にない補強方針やケガ人の復帰、オープン戦好調な投手陣の面々をみると、優勝とはいわずとも、今年のドラゴンズはもしかしたらAクラス入りを期待できるのではないか、という希望を抱いてしまう私がいるのだ――。 長年のファンとして率直な意見をいうと、咋シーズンの惨状には何度も心が折れかけた。 借金26で最下位というチーム成績もさることながら、課題の二遊間はついに最後まで固定できず。目立った新戦力の台頭は現役ドラフトで加入し、24本塁打を放ち救世主となった細川成也と育成ドラフトから這い上がり、奪三振の山を築いた松山晋也くらいのものだった。 期待された石川昂弥やドラ2ルーキーの村松開人らはチャンスをもらうも、ケガや疲労の影響はあったが満足いく成績を残したとは言い難い。そして、何よりもチームとして本当に打てなかった。チーム打率は最下位。得点も5位の広島に100点以上低い390で終わっている。もしこれで、78打点を挙げた細川がいなかったと思うとゾッとする。近年、NPB全体で投高打低の傾向が続いているとはいえ、とにかく点が取れないシーズンだった。 そんな打てない打線のあおりを受けたのが投手陣。阪神に次ぐ防御率3.08を記録しながらも、先発投手ローテ陣には4人も2ケタの黒星がついている。スターターが好投しつつも、援護に恵まれずモヤモヤが募る試合が本当に多く、絶対的なクローザーであるライデル・マルティネスの出番も限定的となり、48登板に留まった。 より悲壮感があったのは2軍だ。33勝70敗の借金37でダントツの最下位で、本来のポジションでの起用や投手運用すらままならずケガ人も続出。育成の場とはいえ、2ケタ本塁打が誰もいなかったことも未来への不安を募らせる結果となった。ドラ番記者と話していても、「選手もやる気をなくしてしまっており、ファームの雰囲気は最悪だ」という声も耳にしたことが、一層ネガティヴな気持ちにさせられたものだ。