ワインディレクター田邉公一が注目、上映時間4時間のドキュメンタリー『至福のレストラン/三つ星トロワグロ』の見どころとは?
巨匠、フレデリック・ワイズマンが三ツ星レストラン「トロワグロ」の秘密に迫る......。映画『至福のレストラン/三つ星トロワグロ』が2024年8月23日より、Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下、シネスイッチ銀座ほか全国で順次公開される。これに先立ち東京日仏学院で実施された、フィガロジャポン読者限定試写会、トークショーの様子を特別にお届け! 【動画】『至福のレストラン/三つ星トロワグロ』予告編を観る 4時間という、フルコースの料理を食べたような上映時間の後にゲストとして登壇したのは、ワインディレクターの田邉公一氏。2007年にルイーズ・ポメリー ソムリエコンクールにて優勝。ザ・リッツカールトン東京のオープンメンバーとしてメインダイニングのソムリエ、レストラン「L'AS」シェフソムリエ兼取締役などを歴任し、38歳でワインディレクターとして独立。現在も飲食業界のさまざまな活動を通じ、サービス業の世界を牽引する田邉氏に、この映画の魅力を語ってもらった。
ーーまずは、トロワグロというレストランについて、田邉さんの思い出などをお伺いできればと思います。
フランスには6度訪問していますが、現地のレストランはお伺いしたことがまだありません。ハイアットリージェンシー 東京にあった「キュイジーヌ[s]ミッシェル・トロワグロ」は、ギリシャワインの生産者の来日の際に、インポーター様からお声がけいただき伺いました。トロワグロの料理は、映画中でも語られていましたが「酸味」で調和をとり、まとめ上げるのに長けているという特徴があります。ギリシャの品種アシルティコから造られた白ワインの柑橘フルーツのフレーヴァーときれいな酸味、ほのかな苦味と見事にマッチしていました。
ーー「55年間三ツ星をとり続ける」というトロワグロの偉業について、どう思われますか?
私は以前、パリのマドレーヌにある「サンドランス」という有名な二ツ星レストランで2週間ほど、サービスの研修を受けていたことがあります。そこは以前「ルカ・キャルトン」という名前で三ツ星でしたが、返上して、サンドランスとして再び星を獲得したという名店です。そのレストランも世界からゲストが訪れ、非常に忙しく、なおかつクオリティの維持もしなければならない。三ツ星をそれほど長く保持し続けるエネルギーをもったレストランは、計り知れない凄さがあると思います。