筆記時のガタつきだけじゃない!デザイン、重心もブレない、ゼブラの新作ペン「ブレン4+S」の開発秘話
◆4色ボールペン+シャープペンシルの「ブレン4+S」登場
2024年2月に発売された「ブレン4+S」も、そのコンセプトは変わらず「ストレスフリーな書き味」です。 単色のペンには単色なりの、3色ボールペンには3色ペンなりの「ストレスフリー」があるように、4色+シャープペンシルという多機能ペンにも、それ相当の「ストレスフリー」があります。 「ブレンのシームレスな見た目は踏襲しつつ利便性を向上するにあたって、多機能ペンでもとにかくできるだけ細くしたいというのはありました。ただ、ブレンの多機能ペンである以上、ブレンの独特なシルエットは守りたいわけです。 つまり、ノックボタンとクリップ部分が一体化していて、他社のノックボタンが独立したものに比べて頭が大きいシルエットを守った上で、細く見せるというのは、かなり難しい課題でした」 とデザインを担当したゼブラの研究本部開発部の山本佳那さん。 これはつまり、軸の中に細い部分を作るのは難しいということです。 そこで、クリップの取り付け方、ノックボタンのサイズ、ガタつきを軽減するためのパーツやリフィルの配置、ノックによってそれぞれのリフィルが干渉しないスムーズな芯の出し入れの実現など、設計やデザインのスタッフと試行錯誤を重ねる必要があったと言います。
◆課題は、軸を細くしながら、多くのパーツを軸に収めること
「まず、多くのパーツを収めるためにはある程度必要な太さがあるので、とにかく軸の肉厚をいかに薄くするかというのが、スリムに作るための一番のポイントでした。 実際に見てもらうと分かると思いますが、軸の厚みはかなり薄くなっています。外から見ると分かりにくいのですが、ブレンの軸の特徴の1つとして、尻軸に行くにしたがってだんだん円から楕円になっていくんです。 しかも、楕円になった部分はパーツも多いので、軸の厚みが極端に薄くなっているんです。この極限のところをどこに持っていくかというのは、デザインと設計でよく話し合って作りました」 と、開発を担当したゼブラの研究本部開発部の細木真百合さん。 設計の細木さんと、デザインを担当している山本さんは、日ごろから一緒に業務に取り組んではいるものの、今回は、より一層連携を強めて、ほとんど一緒に作業を進めていったのだそう。 中に全部のパーツが収まるか、どのくらい肉厚を薄くできるか、消しゴムは入れられるか、リフィルはお互い干渉せずに動くか、ノックボタンの長さや大きさはなどなど、とにかく試作を繰り返して、実際に入るか、動くか、といったことは、設計とデザインをそろえて作っていく必要があります。 実際、使ってみると分かりますが、この設計だからこういうデザインになっている、このデザインはこの設計の上で実現しているという部分があちこちに見られます。 分かりやすいのは、天冠の消しゴムのキャップ部分でしょう。外して中を見ると、楕円の中に円形のキャップが組み込まれている上に、ノックボタンが上にはみ出している分の切れ込みが入っているのも分かります。