筆記時のガタつきだけじゃない!デザイン、重心もブレない、ゼブラの新作ペン「ブレン4+S」の開発秘話
◆「ブレン」のブランドを崩さずにオールインワンの筆記具を実現
「やはり、『ブレン4+S』という製品は、オールインワンで完結する筆記具でありたいということもあり、消しゴムは必須だと考えていました。 また、シャープペンシルのノック部分でもあるクリップを、同時にバインダークリップにしたいというのも、オールインワンでありたいという考えから実現しました」と瀬川さん。 「このバインダークリップをノックボタンとシームレスに見えるように一体化させるのも、かなり難しかったんです」と山本さんと細木さんは口をそろえます。 隙間やバネ、穴などの、内部的な部分を全く見せないというのも、「ブレン」というブランドの重要な部分です。それを、4色+シャープペンシルという多機能にバインダークリップまで付けても守るというのは、相当な難しさだっただろうと思います。 しかも、ノックボタンには、芯を戻すときの音を抑えるためのエラストマーパーツが入っていて、そのパーツがそのままノックの指が掛かる部分になっている、といった工夫もあります。 また、低重心を実現するための金属パーツが、グリップ部分全体に、3つのパーツに分かれて搭載されています。低重心といっても、ただペン先を重くするのではなく、手に収まる部分からペン先までを金属にして、重心を手の中に収めるようにすることで実現しているのです。 ただでさえペンの後ろが重くなりがちな多機能ペンですから、なるべく全体が軽く感じられるような重心バランスだと、書きやすく、扱いやすいのです。そういう点でも「ストレスフリー」を考えた構造になっているわけです。 筆者が使っていて感じたのは、ノックボタンの指に当たる部分が、大きめのエラストマー製のボタンになっていることで、芯の出し入れがとても気持ちよく、楽に行えるということです。また、ノックのストロークが少し短くなっているのも気に入っています。 これだけ詰め込んで、従来のブレンシリーズと比べて本体の長さがほとんど変っていないということにも感心します。 山本さんによると「本体を少しでも細い印象にするため、わずかに全長を長くした」ということでしたが、よく実現できたものだと思いました。 もちろん、ガタつきも抑えられているし、何より、持ったときのバランスがとても良いので、現在、取材用には、この「ブレン4+S」を1本を携帯しています。デザインと機能と使い勝手が、見事に融合していて、使っていて気持ちがいいのです。
▼納富 廉邦プロフィール
文房具やガジェット、革小物など小物系を中心に、さまざまな取材・執筆をこなす。『日経トレンディ』『夕刊フジ』『ITmedia NEWS』などで連載中。グッズの使いこなしや新しい視点でのモノの遊び方、選び方を伝える。All About 男のこだわりグッズガイド。
納富 廉邦(ライター)