盗撮で二度逮捕も「今後絶対にやらない、とは言えない」 当事者、その妻と考える再犯防止 専門家訴え「盗撮の暴力性が重要視されていない」
■妻「夫を一面だけで見たくない」「同じ立場の人に“一人じゃないんだよ”と」
こあらさんは、夫の山田さんが逮捕されて初めて盗撮の件を知ったという。「信じられないという気持ちで、頭が真っ白になったという言葉が一番しっくりくる」と話す。 夫と向き合うには1年半ほどかかったそうだ。「正直今でも明確な答えは出ていない。ただ、夫を一面だけで見たくない。悪い面も良い面も知っているので、全部含めて確認していきたいと思って、一緒に暮らしている」と明かした。 妻に対して山田さんは「最初に捕まった時は離婚するか否かという話になった。自分本位で、“とにかく離婚したくない”“見捨てられたくない”という気持ちで向き合っていたと思う。ただ、妻がいろいろと努力してくれた。今は違った気持ちで、まずは自分を律して向き合わなければいけないと思っている」との考えを述べる。 今回の出演について、こあらさんは「加害者の家族も加害者みたいな、共同責任の考え方が日本にはあると思う。すごく怖いが、私と同じ立場の人は絶対にいるし、“一人じゃないんだよ”ということが伝わればいいなと思った」とコメント。 山田さんは「自分と同じように苦しんだり、そもそも依存症者と気づいていない人がほとんどだと思う。一度でもやってしまって、まだ捕まっていない方、それは依存症の入り口だということに気づいてほしい」と訴えた。
■高い再犯率 専門家「盗撮の暴力性があまり重要視されていない」
著書に『盗撮をやめられない男たち』などがある、加害者臨床が専門の西川口榎本クリニック副院長・斉藤章佳氏が加害者521人に行った調査によると、盗撮開始年齢は10代が27%、20代が43%、30代が27%で、平均年齢は21.8歳。動機は盗撮軽視(興味本位)、性的関心、ストレス発散と続く。 加害者の心境について斉藤氏は「ビギナーズラックのような経験は、ギャンブルと同じでずっと脳に残る。我々が“自己使用”と言う自慰行為のための盗撮が、気づくと盗撮のための盗撮になっていくケースが多い。盗撮する前の緊張感と達成した後の緩和、それが普段抱えている緊張感や生きづらさを一時的に緩和してくれるというところでハマっていく」と説明。 盗撮の5年以内の再犯率は36.4%(平成27年版「犯罪白書」より)。「5年10年やっていなくても、衝動制御障害のような状態になっている場合もある。ある特定の条件や状況が揃ってしまうと衝動が制御できなくなり、再発するケースはある」という。 対処・治療法は「ある」そうで、「ストレス対処行動の選択肢の狭さが盗撮という手軽な行動にのめり込む一つの動機になるので、選択肢を増やしていくのが基本的なプログラムになる。生活の中でハイリスクな状況や引き金を回避することと、“今日一日やめ続ける”というのを繰り返すこと。あとは家族のサポートがある人のほうが治療定着率は高い」とした。 斉藤氏は、日本社会では盗撮の暴力性があまり重要視されていないと指摘する。「アダルトコンテンツやたくさんのサイトがあるのを見て、加害する潜在的な層が“自分もできるかもしれない”と1回目の盗撮に及ぶケースをたくさん見てきた。今は包括的な性教育が大事だと言われているが、小さい年代から撮影行為のルール決めをする。家庭でもできることだが、そういう教育は必要だと思う」と投げかけた。(『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部