福島第一原発2号機でデブリつかむ作業開始、3年遅れでスタート…3gの採取目指す
東京電力は30日、福島第一原子力発電所2号機で溶け落ちた核燃料(デブリ)を爪状の器具でつかむ作業を始めた。9月に始まった試験的な取り出しでは最重要の作業だ。耳かき1杯分に相当する最大3グラムのデブリの採取を目指す。
東電によると、同日午前6時6分、デブリをつかみやすくするため、デブリを冷やす水の注入を止めた。続いて、取り出しに使う釣りざおのような装置の先から、爪状の器具を原子炉格納容器の底部に下ろした。操作は原発構内の遠隔操作室から、装置先端部のカメラの映像をモニター越しに確認しながら行う。
試験的な取り出しは当初、2021年に始める予定だったが、装置開発の遅れなどにより今年9月10日に3年遅れで着手した。しかし同17日に装置先端部のカメラが不具合を起こしたため作業を中断。カメラを交換し、今月28日に再開した。釣りざお式装置の動作確認の一環で、デブリをつかんだことはあったが、取り出しを目的にしてデブリをつかむのは今回が初となる。
格納容器の外に装置ごと引き戻すのは31日以降で、金属製の「隔離箱」内でデブリの放射線量を測定する。線量が想定より高い場合は、作業員らの被曝(ひばく)を考慮してデブリを格納容器内に戻す。
デブリを取り出した後は日本原子力研究開発機構大洗研究所(茨城県)に送り、硬さや成分などを調べる。今年度中に分析結果がまとまる見込みで、本格的な取り出し方法の検討に生かす。