いまどきの慶應大生は何を読む 本好きによる「塾生選書」で、おすすめの本は?
未知の世界に触れ、新たな知識を身につけられる「読書」の魅力は、時代が変わっても色あせることはありません。価値観や趣味が多様化した現在、大学生はどのような本を読んでいるのでしょうか。慶應義塾大学の有志学生によるボランティア組織「図書館フレンズ」のメンバーに、お気に入りの本を聞きました。(写真=図書館フレンズが選ぶ「本の福袋」、慶應義塾大学日吉メディアセンター提供) 【写真】『諭吉に訊け! 現代人のモヤモヤした悩みを晴らす「学問のすすめ」』(奥野宣之/著 光文社)
慶應大生による、図書館ボランティア
慶應義塾大学の「図書館フレンズ」は、読書や図書館の魅力を学生の目線で伝えることを目的に2015年に発足した、日吉図書館で活動するボランティア組織です。 主な活動内容は、さまざまなテーマに沿った図書の展示企画、メンバーが書店に足を運び、学生目線で図書館に置いてほしい本を選ぶ「選書ツアー」、メンバーのおすすめ本を紹介する広報誌「新フレンズ文庫」の発行、塾生・教職員が“推しの一冊”をプレゼンする「ビブリオバトル」の企画・運営などです。 このほか、図書館から借りた本に専用のしおりを挟んで返却すると、図書館フレンズのメンバーがその本の「POP(紹介チラシ)」を作成して掲示する「読んでみて!」、学内で募った、読みたい本のリクエストをもとに購入する「塾生選書」など、メンバー以外の学生の声も取り入れた企画による読書の推進活動にも取り組んでいます。 また、期間限定で行われる「本の福袋」は、毎年好評の企画です。「福袋」とは図書館フレンズが厳選した本を数冊ずつ中身が見えないよう袋詰めしたもので、どのような本に出合えるのか、袋を開けるまでわからないユニークさが人気を集めています。
本の魅力を伝えたい
図書館フレンズのメンバーは、学部や学年を問わず毎年4月の約1カ月間、期間限定で募集しており、現在は約20人が所属しています。若い世代が「本を読まなくなった」といわれていますが、読書の魅力を感じている人もたくさんいるようです。 責任者の4年生、牧野浩二さん(仮名)は、「コロナ禍で暇な時間が多かった高校3年の時、何げなく手にした本を読んで、読書の面白さに気づきました。図書館フレンズに入ったのは、大学に入ったら本に関わる活動がしたいと思ったからです。図書館フレンズの活動はメンバーとの本の情報交換の場にもなっています」と話します。 2年生の田端由実さん(仮名)は、「作家のエッセーが好きで普段の生活ぶりがわかるような本をよく読むのですが、意外と周りでそういった本を読んでいる人が少ないんです。大学生になったら自分の好きな本を皆さんに紹介したいと思い、図書館フレンズに入りました。図書館の本には書き込みがあったり、汚れていたり、折れているページがあったりします。本に何十年も前の返却期限日が記録されていると、こんな昔にもこの本を読んだ人がいたんだなあと思ってうれしくなります」と語ります。 4年生の樋口翔さん(仮名)は、「よく電車の中で紙の本を読みます。暇だとついスマホを見てしまうのですが、本を読んでいる間はスマホやタブレットから離れられます。今日はどんな本を読んで過ごそうかなと夢中になれるのです」と言います。