“第1回瑶子女王杯”を手にしたのは坪井翔! 併催レースで妻も勝利し“夫婦同日優勝”の快挙|スーパーフォーミュラ第4戦富士
7月21日、富士スピードウェイで第1回瑶子女王杯スーパーフォーミュラ第4戦の決勝レースが行なわれた。優勝を飾ったのは坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)だった。 【リザルト】スーパーフォーミュラ第4戦富士:決勝順位速報 夏休みシーズンの到来と共に行なわれる今年の富士戦も、“夏祭り”と題され多くの家族連れを集めた。そして大会名称には、皇族の瑶子女王殿下の名が冠されるという、モータースポーツ界にとっても歴史的なレースとなった。かなりのレース好きだという女王殿下はレースウィーク3日間に渡ってご来場され、ドライバーをはじめとする関係者とも気さくにコミュニケーションをとられていた。 ここまで3戦を終えた段階ではTEAM MUGENの野尻智紀がポイントリーダーとなっていたが、その野尻は予選7番手に沈んだ。ポールポジションはKids com Team KCMGの福住仁嶺で、チームに創設以来初のポールをプレゼントした。そしてフロントロウ2番手には、野尻を追うランキング2番手の岩佐歩夢が続いた。グリッド2列目の大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、坪井を含めて、予選トップ4のタイム差はわずか0.030秒という大接戦だった。 フォーメーションラップ開始直前、5番グリッドの太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)のマシンがトラブルからかグリッドを離れ、ガレージにマシンを戻された。太田は今回も予選で好位置につけていただけに、悔しい戦線離脱となった。 太田不在の20台で41周のレースがスタート。福住はスタートを決めてトップで1コーナーを立ち上がったが、岩佐は失速し、中団に飲み込まれる形となった。2番手には大湯、3番手には牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が続いた。なお予選で駆動系のトラブルがあった12番グリッドの阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)は、スロットルに異常を感じたようでヘアピン立ち上がりでストップ。リタイアとなった。 福住は大湯に対して2秒前後のリードを築いて周回。大湯の後ろ3番手には、決勝ペースに自信をのぞかせていた坪井が浮上した。一方、岩佐は中団グループにも追い抜きを許すほどペースが上がらず、14番手に落ちた。なお、レース中盤には無線で「マシンのフィーリングが変だ」と訴えていた。 ルーティンのピットストップが可能となる10周目を迎え、牧野や野尻など上位陣でも早めのピットストップを選択したドライバーがいたが、福住、大湯、坪井のトップ3はミニマム周回付近では動かず。ただ、この三者の中では大湯のペースがやや落ち始めており、坪井にプレッシャーをかけられていた13周目にピットに入った。大湯はアウトラップで野尻に交わされたが、その後抜き返してポジションを回復した。 福住は14周でピットイン。しかし左フロントタイヤの交換に手間取り、大湯や野尻の10秒ほど後方で復帰する形に。KCMGは過去に小林可夢偉が優勝争いを展開している際にピット作業でタイムロスしてしまうというケースが何度かあったが、その悪夢が再び起きてしまった。 レースが折り返しの21周目を迎えた時点のトップは、ピットストップを終えていない坪井。既にルーティンストップを終えたドライバーの最上位は大湯で、坪井の35秒後方であった。大湯のすぐ後ろには、野尻と牧野が控えていた。 トップの坪井は28周目にピットイン。大湯、野尻、牧野に続く事実上の4番手でコース復帰し、フレッシュタイヤでの追い上げを狙うことになったが、牧野、野尻を31周目までにあっさりと攻略し、残り10周で3.5秒先にいる大湯を追いかけた。 33周目(残り9周)、坪井は大湯の背後につける。そして34周目のコカ・コーラコーナーでオーバーテイク。これで坪井が事実上のレースリーダーとなった。 セーフティカー出動に望みをかけ、レース最終盤までステイアウトしていた岩佐は残り2周というタイミングでピットへ。名実ともにレースリーダーとなった坪井は大湯との差を7.162秒に広げてトップチェッカー。今季初勝利を飾った。 ちなみに、今回スーパーフォーミュラと併催されているKYOJO CUPでは、坪井の妻である斎藤愛未が土曜の第2戦、日曜の第3戦共に優勝。同じ週末、同じ会場で開催されるレースで夫婦同日優勝という快挙となった。
戎井健一郎