北朝鮮が複数の短距離弾道ミサイル、官房長官「断じて容認できず」
Shiho Tanaka Joyce Lee Kaori Kaneko [東京/ソウル 5日 ロイター] - 防衛省は5日、北朝鮮が同日午前7時半から39分ころにかけて、同国西岸付近から複数発の弾道ミサイルを北東方向に向けて発射したと発表した。いずれも朝鮮半島東岸付近の日本海、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと推定している。林芳正官房長官は「断じて容認できない」として、北朝鮮に抗議し、強く非難したと明らかにした。 韓国軍合同参謀本部も、北朝鮮が午前7時半ごろ南西部・黄海北道沙里院付近から朝鮮半島東方の海に向けて複数の短距離弾道ミサイルを発射したと発表した。 日本の防衛省によると、発射された弾道ミサイルのうち少なくとも7発は最高高度約100キロメートル程度で、約400キロメートル程度飛行したと推定している。 北朝鮮は前月31日にも大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。林官房長官は5日午前の閣議後会見で「これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含め、一連の北朝鮮の行動は我が国および国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できない」と指摘。今回の発射についても、北朝鮮に対し、北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議し強く非難したという。 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は5日、金正恩朝鮮労働党総書記の妹である金与正氏が、米国、日本、韓国の軍事訓練に反発し、北朝鮮による核武力強化を正当化するものとする談話を出したと伝えていた。 米軍は、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて、日韓など地域の同盟国と緊密に協議し、引き続き状況を見守っていると表明した。 KCNAは31日に発射したのは最新のICBM「火星19」だと伝えた。これを受け、国連安全保障理事会は4日、緊急会合を開催し協議を行った。 韓国・北韓大学院大のヤン・ムジン総長は「ICBMが米国に向けられたものだとすれば今回の弾道ミサイルは韓国に向けられたものだ」と指摘。 「直接的には日米韓の共同空中訓練に抗議するもので、間接的には米大統領選の直前に北朝鮮のプレゼンスを誇示する狙いがある」と分析した。北朝鮮兵のロシア派遣から国際社会の批判をそらす意図もあるとした。