子育てを地域で支え合う、「かつて自分が助けられたように」 八戸の中心街に活気、次世代も力に【地域再生大賞・受賞団体の今】
親子で楽しく過ごせて、いつでも仲間とつながることのできる場があり、生まれる前から学童期まで子どもたちを地域で見守る。青森県八戸市で約20年にわたって、子育ての応援を通じて元気なまちを目指す取り組みが続いている。一年を通じて多くの親子イベントが行われ、中心街はにぎわう。NPO法人「はちのへ未来ネット」を中心に、多くの市民ボランティアが活動を担う。成長したかつての子どもたちも大きな力となっており、支え合いの循環が生まれている。(共同通信=藤田康文) 【写真】通知表をやめた公立小学校、2年後どうなった? 子ども同士を「比べない」と決めた教員たちの挑戦
▽高校生も運営手伝う デパートや飲食店が立ち並ぶ八戸市中心街の多目的広場に歓声が響く。2024年9月、はちのへ未来ネットが開いた秋祭り。「わっしょい、わっしょい」のかけ声とともに幼児が小さなみこしを担ぎ、夢中になって和太鼓をたたく。盆踊りの曲に合わせて体を動かすわが子の姿に、目を細めるパパ、ママたち。 「お手々を開いて、パンッ」。はちのへ未来ネット代表理事の平間恵美さん(64)はマイクを握り、一緒に踊る。ゲームや縁日のコーナーでは、高校生ボランティアの姿も。 はちのへ未来ネットは同じ日、近くの八戸市美術館でもイベントを主催した。多くの親子連れがツリーハウスに登ったり、木のおもちゃや人形劇を楽しんだりした。 美術館の宗石美佐副館長は「車社会で人の流れが郊外に向かう中で、中心街で楽しいこと、面白いものに出会ってほしい。親子が足を運ぶきっかけになれば」と話した。 ▽木のぬくもり
八戸市は中心街の活性化に向けて、文化や交流のための施設を整備してきた。多目的広場や美術館とともに、中核となっているのが「八戸ポータルミュージアム はっち」。市民活動や観光の拠点として、2011年にオープンした。 ここに乳幼児や親たちの交流施設「こどもはっち」がある。おもちゃやフローリングに木を多用したぬくもりのある空間。「ひみつきち」「おもちゃのいえ」といった小部屋に、大人もわくわくする。 はちのへ未来ネットは市の委託を受け、こどもはっちを運営する。親子触れ合い遊び、紙芝居、お誕生月会、修理が必要なおもちゃの「病院」…。催しがめじろ押しだ。観劇会やハロウィーンパーティー、野菜収穫体験など季節のイベントも多い。 ▽悩みを共有 妊娠期や生後1年までの赤ちゃん、多胎児の親や転勤が多い家庭、障害のある子と家族などを対象とした交流会もある。参加者はお下がりの受け渡しをしたり、同じ悩みを共有したりしている。