子育てを地域で支え合う、「かつて自分が助けられたように」 八戸の中心街に活気、次世代も力に【地域再生大賞・受賞団体の今】
保育士などの資格を持つスタッフが子育ての悩みにアドバイスし、必要があれば医療や福祉、行政機関につなぐ。預かり保育も手がける。こどもはっちの入場料は100円(未就学児は無料)で、月間の利用者数は3千~4千人。周辺町村から訪れる人も多い。 こどもはっちとは別に小学生の放課後の居場所も開設。不登校やひきこもりの相談に応じ、困窮家庭への食料配布も実施する。 ▽応援隊が支え はちのへ未来ネット代表理事の平間さんは、かつて市内で子育てサークルの代表を務めていた。「この八戸で、親子が舞台芸術などの文化に親しむ機会を増やそう」と2003年、子どものために活動する個人や団体に結集を呼びかけた。このメンバーが中心となり、大きな子どもイベントを毎年開くようになる。06年に前身組織が発足する。 はちのへ未来ネットの役員は平間さんや元行政職員、民生委員ら5人。個人会員は30人弱に過ぎない。手弁当で活動を支えるのは「数え切れない応援隊の人たち」。平間さんは「私たちには力がないが、社会福祉協議会や教育委員会の関係者、公民館の館長らに助けられ、少しずつ、やりたいことが形になっていった」と振り返る。
実社会に見立てた「こどものまち」で小学生が多様な体験をする企画は、若い世代が立案し、高校生と一緒に運営した。高校生のボランティアに約100人が登録する。 ▽自分も助けられた 平間さんは仙台市出身。幼い頃に母を亡くし、近くに育児を相談できる人がいなかった。長男を授かった際に、同じアパートの先輩ママに助けられた。夫の転勤で住んだ秋田でも出会いに恵まれ、母親たちのサークル活動に参加した。 再び転勤で八戸に移って子育てサークルを立ち上げたのは、こうした経験が大きい。平間さんは「私が子育てを手伝ってもらったように、若い親御さんに地域の中で生きてもらいたい」と変わらない思いを語る。 ▽つながりをつくる 障害のある子がいたり、厳しい環境に置かれていたりする母親もいる。「赤ちゃんが生まれたときから関わっていると、その子が小学生になって居場所に戻ってきたときにケアがしやすい」と、地域が長いスパンで子どもたちを見守る大切さを訴える。