インフラ老朽化のNY大寒波直撃―暖房故障で命の危険、それでもタフな市民
5日から、米国東部は記録的な大寒波に見舞われています。建物や公共交通機関の老朽化が進むニューヨークでは、街の機能が麻痺し、暖房設備などがあちらこちらで壊れ、健康状態に危険を及ぼすレベルの寒さに多くの市民が苦労している模様です。一方で、極限状態の寒さを楽しむタフさをみせるのも、ニューヨーカーならでは。ニューヨーク・ブルックリン在住のライター金子毎子さんの報告です。 ----------
日本でも昨日8日の成人の日は、低気圧の急発達(爆弾低気圧)と強い寒気の流れ込みで冬の嵐となったところがあるようですね。北米もこの爆弾低気圧に見舞われ、南部フロリダでも30年ぶりに降雪が観測されています。ここニューヨーク市でもクリスマスの夜から13日間連続で氷点下の日々が続きました。今回はそんなふるえる街の様子をこちらのニュースを交えてご紹介します。
BOMB CYCLONE! BOMB CYCLONE! BOMB CYCLONE!
爆弾低気圧は英語ではBomb Cyclone(ボム・サイクロン)。米国人にとっても、中西部と東部がこの大寒波に見舞われるまでほとんど馴染みのない言葉だったこともさることながら、「爆弾級のサイクロン」という語感がなかなか強烈で恐ろしいやら、でもクールな感じもするやら、やっぱり意味不明やらで、年末から年始にかけて新聞の見出しやニュースで引っ張りだこ状態になっています。 CBSの深夜バラエティ番組「レイトショー」の冒頭では、「金曜日はBomb Cyclone、土曜日はMurder Rain、日曜日はSnowcanocanemageddonado(アルマゲドン的トルネード風雪嵐?)になるでしょう」とフェイク天気予報が流れ、メディアによる「ボム・サイクロン」という言葉のもてはやしぶりを揶揄していました。
数字で見るニューヨークの爆弾低気圧
クリスマスの夜に氷点下になって以来、8日現在でも摂氏マイナス2度ほど。本日夜中前に0度に達したあと、明日(9日現地時間)は2週間ぶりに最高気温5度と氷点下祭りがついに終わりを迎える予想となっています。タフな姿勢を見せたがるニューヨーカーなので、こんな寒さが続いても「っていうか冬だから!」なんて街頭インタビューで答えている人が必ずいますし、筆者もつい寒いと近所のおばちゃんに弱音を吐いたら、「私が子どもの頃はもう11月の感謝祭の頃にはこんな感じだったわよ」なんて“自慢”されてしまいました。 まあ、本当はさすがにそんなことはなくて、この時期でも平均気温は摂氏3~4度くらいだそうです。実際去年の大晦日は1917年以来2番目に寒いカウントダウンとなり、最低気温は氷点下12度(風のため体感温度はマイナス20度)まで下がりました。 新年へのカウントダウンで有名なタイムズスクエアには、それでも200万人近い人が集まったとのこと。CBSの夜11時前の中継では、朝の9時から同じ場所にいるという女性が「カウントダウンが待ちきれないわ!」と叫んでいました。指定エリアは一度入ったら終了まで出られません。トイレだっていけません。マイナス20度の屋外に12時間立ちっぱなしって、この世にそうまでしても見なくちゃいけないものがあったとは。まさかマライア・キャリーの「昨年のマジギレ汚名返上のカムバック劇」ではないですよね?