インフラ老朽化のNY大寒波直撃―暖房故障で命の危険、それでもタフな市民
ニューヨーカーの足は公共交通機関頼み
そしてニューヨーク市はもう一つ、同じく今回のような大寒波に見舞われたそのほかの地域と異なるユニークな事情をかかえています。それは市民の足が公共交通機関頼みであるということ。だから、大雪やハリケーンといった気象現象が原因で、突然街が麻痺状態に陥ります。東京と同じですね。 ただし東京と同じでないところは、バスはともかく地下鉄をはじめとする鉄道の老朽化が半端な状態ではないこと。ただでさえ故障や混乱が続いて、州知事が昨年6月に非常事態宣言を出すに至りました。そんな中でこの大寒波、そして4日は雪嵐でしたが、地下鉄に対する市民の不信感・不満を払拭、頑張っている感をアピールする必要に迫られたのか、各停どころか急行まで何とか運行していました。 ところが2日後の土曜日になっても、急行が各停になると放送では言っているのに止まらないで通り過ぎる、鳴り物入りで全駅にインストールし終えたばかりの電光掲示板は、「到着まであと1分…5分…25分(って急になにそれ)」と到着時間が延びていくうえ結局来ない、というような地獄を、冷え切った駅の構内で個人的にもしっかり体験してしまいました。ふと気づけば、地上から漏れてきた得体の知れない水が天井からつららになっていて、おまけに線路の上にでっかい氷の塊ができています。地下鉄についてはもうめったなことでは驚きませんが、さすがにこれにはドン引きでした。
やっぱり“タフ”なニューヨーカーたち
ちなみにこれほどの寒さだと、30分も外にいれば低体温症になる危険があるそうです。雪が降った日は休校になった公立学校が翌日は再開。とはいえ、やっぱり子どものスクールバスも遅れに遅れ、40分は待ったでしょうか。低体温症になったらどうしてくれるんでしょう。一緒にお迎えに来ていたワンちゃんは雪の上をよろこんで駆け回るどころか、足が冷たくて耐えられなくなり、かがんだ飼い主さんの膝の上に乗っかっていたくらいです。 それでも鼻水を垂らしながら雑談していると、あるお父さんが「いや~、昨日公園にそりをしにいってさ~」と言うではありませんか。え、ブリザードだったけど? 氷点下10度とかだったけど? というわけで、「……丘、凍ってなかった?」と聞いたら、「いや、サラサラ雪でよかったよ、子どもも大喜びで」。 ……子ども連れていったんだ、幼稚園児を。「こんな日に外に出ている人はいないって言ったじゃん! 私もそり遊びしたかった」とそれを聞きつけた娘はプンプンです。でも本当に誰も街中歩いていなかったし…… 。 おりしも昨日7日は、今や世界的なイベントとなった「No-pants subway day」。冬のさなかに毎年何百人ものニューヨーカーがズボンやスカートといったボトムを履かずに、何食わぬ顔をして地下鉄に乗り込む日です。そして大寒波(この日は氷点下8度)も彼らを止められなかったことは、言うまでもありません。