「追い詰められて発令か」尹氏 なぜ“強硬手段”に…44年ぶり戒厳令の余波
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3日夜、44年ぶりに“戒厳令”を発令しました。 【画像】「追い詰められて発令か」尹氏 なぜ“強硬手段”に…44年ぶり戒厳令の余波 尹錫悦大統領 「破廉恥な親北朝鮮反国家勢力を一斉に根絶し、自由憲法秩序を守るために非常戒厳を宣言します。そのため、私はこれまで非道な行為を行ってきた亡国の元凶である反国家勢力を必ず撲滅します」 野党によって予算を削られたとの主張も理由に挙げています。 この発表の直後、夜中にもかかわらず、国会前には数千人の市民が押し寄せました。 大統領だけに許される権限“戒厳令”。国会や政党の機能停止、市民集会の禁止、報道の検閲など、6項目に渡ります。大統領に権力を集中し、反対するものの声を抑え込む、独裁国家のような規制が、突然、発出されました。 市民と警察の間で小競り合いが起きていた時間帯、ある2つの動きが同時に進行していました。 1つは、国会議員たちの集結です。 野党『共に民主党』 イ・ジェミョン代表 「速やかに国会に来てください。民主主義の最後の砦である国会を守ってください。私も、いま国会に向かっています。時間は切迫しています。国の運命が風前のともしびです」 こう呼びかけ、自らも議事堂内へ向かいます。
これと並行して起きていたのが、軍の出動です。目的は、議員を国会に入れないことと、国会内からの議員の排除。戒厳令を止める唯一の手段が、国会の決議だからです。国会議員300人のうち、過半数が賛成すれば、戒厳令の解除が可能になります。 国会前には、軍の特殊部隊などが投入され、国会内への侵入を阻もうとする議員側の関係者や集まった市民らと衝突。ただ、精鋭部隊とは思えないほど、ゆっくり部隊を展開しているような場面もあります。 文化日報(4日付) 「軍の指揮官たちは、正当性を欠いた『戒厳令』の布告は、事実上、不可能であり、それに従えば、反発を招くしかないという点を、十分、認識していた」 結果、議場に集まったのは、300人中190人の議員。全員が戒厳令解除に賛成票を投じました。 ウ・ウォンシク議長 「国会の議決に従い、大統領は直ちに戒厳令を解除しなければならない。戒厳令の宣言は無効となりました。国民の皆さんはご安心ください。国会は、国民とともに民主主義を守ります」 賛成票190のうち、18票は与党からです。 与党『国民の力』 ハン・ドンフン代表 「きょうの悲惨な状況について、政権与党として国民の皆さまに対し、非常に申し訳なく思います。責任あるすべての関係者たちに、厳しく責任を問う必要がある」 議決から3時間余り、尹大統領は敗北を認めました。 尹錫悦大統領 「先ほど、国会の戒厳解除の要求があり、投入された軍を撤収させました。すぐに国会の要求を受け入れ、戒厳を解除します」 尹大統領の戒厳令は、あえなく終わりを告げました。