農薬や添加物は危ない?「荒唐無稽」な陰謀論が後を絶たない納得のワケ
● 陰謀論が広がることで 誰かが得をしている 情報について考えるとき、その情報によりだれが得をするのか、を検討するのも有益です。健康食品の事例がわかりやすいでしょう。効果がある、というよい内容もありますし、リスクがあるとか不明瞭な部分が多いなど問題点もあります。しかし、事業者のセールストークには、後者は出てきません。いくら科学的な根拠があるとしても、かれらには都合が悪いからです。セールストークであろうとウソを言ってはいけないので、彼らは不都合な真実には触れず、顧客の目がそちらに向かわないように気をつけています。 だからこそ、「これは、健康食品業者が儲けるために流している情報なのだから、誇張があるかもしれない。隠された内容があるかもしれない。気をつけて吟味しよう」と思って対峙してほしいのです。 無農薬や無添加を安全と主張する情報も、「だれが得をするのか」という視点があるとカラクリが見えてきます。自分の作る作物がどんなにおいしいかを伝える前に、農薬がどれほど悪いものかを語り始める有機農家が多いのですが、これは、他者を貶めることで自分たちの製品に価値を付加しようとしているのではないでしょうか。添加物を批判する書籍を出版しベストセラーとなった人は、天然塩を製造する企業に勤めていました。 情報を頭から信じ込むのではなく、いろいろな角度から眺めてみる。情報発信者や伝達者の思惑によって編集され都合の悪い情報が隠されていないかを考える。こんな作業も必要であるように思います。
松永和紀