農薬や添加物は危ない?「荒唐無稽」な陰謀論が後を絶たない納得のワケ
● 福島県産食品は ほとんど問題ない また、国の出す情報も信頼度が高い、と私は考えます。よく「国なんて信用できるか!」と言われます。が、食情報に関しては、日本政府が単独でうそをつくのは不可能です。 なぜならば、食情報は国際的に共通の内容がほとんどだからです。各国とも手厚くリスクや栄養に関する情報、国としての判断などを発信しています。どの国も他国の情報と突き合わせながら検討していることから、日本政府が独自に何かを隠して、あるいは誤魔化して決める、というのは実際には無理なのです。 2011年、東日本大震災が起き福島原子力発電所事故により放射性物質が流出し、農産物や水産物の汚染が懸念されました。国や福島県などの自治体はすさまじい数の検査を行っており、今も毎年度、10万件近い検査を続けています。これらのデータはすべて公表されています。 ほとんどの食品はまったく問題なく、野生のイノシシやキノコ、魚などが時折、基準値を超過しますが、これらは多くが、出荷制限区域等で調査のために測定されているもの。日本産の食品はまったく問題がないと言ってよいでしょう。データが公表され説明が尽くされているからこそ、私たち日本国民も気にせず食べられ、諸外国も理解し輸入を認めています。 時には国が、他国の判断と異なる指標値を決めたりすることもありますが、それは日本の食文化や食品をどのように扱っているかなど、複雑な現実に照らし合わせて判断しているから。科学的な根拠のある学術論文などの出典、議論の内容も公表され、他国にも説明されています。 こうしたことから、食情報に関してはまずは国や自治体等の情報を確認し、そのうえで企業や市民団体、書籍等の情報も入手して考えるというのがよいのではないか、と私は思います。企業や市民団体、評論家にも、「この情報は、何が出典ですか?」と問いかけるのは忘れないように。出典不明の場合にはとりあえず判断を保留し、他人には伝えないでください。