大谷、金子、攝津ら、今だ未勝利エースのなぜ
エースの称号である開幕投手を務めながらも、未だ未勝利のエースが3人いる。日ハムの大谷翔平(21)、ソフトバックの攝津正(33)、オリックスの金子千尋(32)の3人だ。またセ・リーグでも、開幕は任せられなかったが、重要なローテーション投手である横浜DeNAの久保康友(35)、ヤクルトの館山昌平(35)の2人が勝てていない。 彼らは、なぜ勝てないのか? 阪神、ダイエー、ヤクルトの3球団で活躍した評論家の池田親興氏は、「それぞれに理由が違う。打線との巡り合わせもある。ただ、共通しているのは、コントロールに困っていることだろう」と分析している。 金子は、西武との開幕戦で7四球。16日の西武戦でも守備の乱れにも足を引っ張られたが、無駄な四球と失投が目立って7失点。7色の変化球が自在に操るコントロールマスターの面影はない。攝津も楽天との開幕戦は、精密機械と称される投手が、5四球と荒れて6失点、わずか3回でKO。3試合でまさかの防御率9.42。ついに2軍落ちを命じられた。 セイバーメトリクスで、1イニングあたり何人の走者を出したか、という投手の安定性を示す指数であるWHIP 《(被安打+与四球)÷投球回》と、制球力を示す指標のひとつであるK/BB《奪三振÷与四球》を見てみると、その数値は、顕著に彼らの問題点を明らかにしている。 好投手ほど数値が低く、エース級で1.00、逆に1.60以上で2軍レベルと言われるWHIPは、攝津が1.95、金子が1.70、久保が1.53、館山に至っては2.10である。ちなみにセ、パ通じてのリーグトップは、ソフトバンク、リック・バンデンハーク(30)の「0.73」。またK/BBは、逆に数値が高いほど良く、3.50以上がエース級の指標とされているが、摂津は0.78、金子が1.29、館山が1.33、久保が1.40と、軒並みローテーション投手の最低ラインと言われている2.00を下回っている。 この数値のリーグトップは阪神の岩貞祐太(24)で、脅威の17.00となっている。ただ、未勝利のエース級投手の中で大谷だけは、WHIPはパで6位となる1.07、K/BBも9位の2.73をキープしている。つまり大谷は未勝利だが、ピッチングの中身には問題がない。実際、ここまでの4試合ではすべてクオリティスタートを守っているが、援護点がなく勝ち星からは見放されているのだ。