大谷、金子、攝津ら、今だ未勝利エースのなぜ
「大谷を除く4人は、いずれも30代。コントロールとキレで勝負しているピッチャーだが、その2つの落ちる原因は、いくつか考えられる。年齢と共に、コンディションのピークを作ることが難しくなっていること。それが原因でフォームバランスが崩れている。さらにエースとしての期待感、責任感から生まれる心理的な焦りが力みに変わっている。 特に館山、金子の2人は、手術明けから2シーズン目。故障前と故障後の肉体と技術のズレを調整することに戸惑っているのかもしれない。攝津に至っては、5年連続で2桁勝利を続けてきたことによる勤続疲労もあると思う。昨季もシーズン途中にファームで走りこみ、コンディションを立て直したが、付け焼刃で調子を取り戻すのは難しいだろう」とは、前述の池田氏。 力が落ちているーーのひとことでは片づけられないが、体調がコントロールを乱すことの原因ならば、16日の西武戦で、ただでさえ“ガラスの肩、肘”を持つ金子に、141球も投げさせたベンチもいかがなものか。 「大谷もコントロールに苦労している。17日の日ハム戦では、終盤にストレートをわざと140キロ台に抑えていたが、これもコントロールを安定させるためにフォームバランスを考え大谷なりに工夫していたのだろう。オフに肉体を大きくしていたが、新しい肉体と感覚のズレが生じているのかもしれない。チームにも“大谷を勝たせなければ”という力みが生まれてくると逆効果だ。実際、ここまで大谷が投げると打てていない。大谷はいずれ勝つだろうが、あまりに勝ちがつかないようでは、心理面に影響も出てくる」 池田氏は、大谷が持つ不安点も、こう指摘した。 大谷は17日のロッテ戦では勝ち負けがつかなかったが、先取点を許し、コントロールの不安定さを開幕戦に続けてロッテ打線につけこまれた。 ひとつ勝てば、すべてが好転するのがプロの世界の不思議ではあるが、あまりに負けが重なると、昨季の巨人、内海哲也(33)のように、スランプの泥沼にはまりこみ、シーズンを通じて戦力にならないケースも出てくる。未勝利の暗闇を最初に抜け出すエースは誰になるのだろうか。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)