餅さえあればお正月!お雑煮に丸餅を使うのはどの地方?【年末から年始のマナー】
忙しい現代の家庭では、おせち作りはなかなかハードルが高いもの。けれど、お雑煮なら気軽に作れて、お正月気分が味わえるのではないでしょうか。「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生に、そんなお雑煮の由来を教えてもらいました。 【マンガで確認】小学生に渡すお年玉、いくらが正解? ■東側はお雑煮に角餅を使い、西側は丸餅を使う お雑煮は、年神様に備えたお餅や農作物、海産物を、元旦に分け合って食べたことが起源とされています。 地域ごとに具材や味付け、調理法もさまざまですが、重要なのは「餅」を入れること。 年神様はお米の神様なので、米から作った餅は霊力の塊のような存在であり、食べることで神様から力を授かり、生きる力になると信じられてきました。 「忙しくておせちを作れない場合は、お雑煮だけでも作るといいでしょう。家庭によって味付けはさまざまなので、家の味を受け継いでいくという意味でも大切にしたいですね」(岩下先生) お雑煮は、地域ごとのバリエーションがじつに豊富。 よく知られているものだけでも100種類を超えるそうで、作り方や具材の違いなどで分けると「集落の数だけ雑煮の種類がある」と言われるほどです。 代表的な例を挙げると、東京はしょうゆ味のすまし汁ですが、京都や和歌山は白味噌仕立て。 島根県の松江はぜんざいのように小豆汁で食べますし、三重県や奈良県の一部には、汁につかっているお餅にさらにきなこをつけるユニークな食べ方もあります。 野菜や鶏肉だけでなく、イクラやブリ、エビなど、海産物を具に使う地方も少なくありません。 また、例外はありますが、日本の中心から東側はお雑煮に角餅を使い、西側は丸餅を使うと、地域によって餅の形がほぼ分かれるようです。 角餅は焼いてから汁に入れる地方が多く、丸餅は焼かずに煮る地方が多いのも面白いですね。 *** 元旦には「家庭の味」のお雑煮を食べたいものですが、2日目、3日目になったら、レシピを調べ、祖父母の出身地や家族で旅行した場所のお雑煮を食べてみるのもいいでしょう。親も子も、食を通して違う土地の風土や文化の一端が理解できると思いますよ! 教えてくれたのは… ▶岩下宣子先生 「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。30歳からマナーの勉強を始め、全日本作法会の故・内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学ぶ。現在はマナーデザイナーとして、企業、学校、公共団体などで指導や研修、講演会を行う。『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(中経の文庫)、『相手のことを思いやるちょっとした心くばり』(三笠書房)など著書多数。近著に『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』(主婦の友社)。 文=高梨奈々