肉料理を完成させる塩使いのルール
肉料理を完成させる塩使いのルール
塩は料理において、ひいては人間の生命維持にも欠かせない調味料だ。もちろん、肉料理においても塩はさまざまな役割を果たしている。塩と肉は好敵手でお互いを引き立て合う存在だと熟成肉の火付け役となったステーキハウス『カルネヤサノマンズ』オーナーの高山いさ己氏は言う。今回は肉と塩の関係について詳しく紹介しよう。
肉を知り尽くしたパイオニアが語る、肉にとっての塩の役割とは?
塩の役割は、臭み取り、肉の余分な水分を浸透圧で出す、旨味を引き出すという3つの役割がある。美味しい肉の定義として、いまは肉の持つ水分量が42%という値が一番ジューシーで美味しさを感じられると言われている。塩を振って水分を出すことで、理想の水分量に近づけると高山氏は語ってくれた。 そして、「塩と肉はライバル関係だ」と言い切る高山氏。お互いを引き立て合うのに不可欠な存在なのだとか。肉をワンランクアップして美味しくしてくれる調味料である、塩使いの基礎を学んで、肉の美味しさを最大限に引き出してあげるのが、美味しい肉料理を作るための第一歩なのだ。
まずは、ベストな塩味を知ろう!
基本を守りながら肉によって調整 肉100gに対しての味付けでベストな塩の量は、牛肉でも豚肉でも鶏肉でも0。9~1。3%が基本と言われている。この振れ幅は、肉の旨味によるところが大きい。美味しい肉に塩を振りすぎると、ドリップが出過ぎて旨味まで飛んでしまうので加減が必要だ。 しかし、パサつきやすい鶏のむね肉は例外で、購入したら3~5%の塩水に丸1日ほど漬け込んでから焼くのが高山氏のアドバイス。余分な水分を出すと同時に保湿もされるので、驚くほどジューシーに焼き上がる。塩水に漬けた鶏肉は4日ほど保管も可能なので、ぜひ試してみてほしい。
焼く前? 後? 塩のタイミング!
安い肉は前に塩を振り、高級肉は味付けに塩を振ること! スーパーで売っている肉などは先に塩を振っておき、余分な水分を出してから焼きの工程に入るのが基本。そうすることで、肉の臭みが取れ、理想の水分量に近づく。比較的高級な和牛やドライエイジドビーフは水分量がコントロールされているので、味付けのための塩だけで十分。また、塊肉などは肉に均等に火が入るように焼く前に冷蔵庫から出して置き、常温に戻しておくのが理想。肉の温度変化の幅を小さくすることで、肉が縮みにくくなる効果もある。