【巨人】川相昌弘コーチ指導15年目の景色…静かな戦いが始まった
【赤ペン‼ 赤坂英一】巨人・川相昌弘コーチ(60)は来年指導者生活15年目を迎える(評論家時代の2021年、阪神の臨時コーチは除く)。 中日時代の07年から一軍内野守備走塁コーチと二軍監督を歴任。11年に巨人に復帰すると二軍監督、一軍ヘッド(監督代行含む)、三軍監督、再び二軍監督、ファーム総監督、さらに一軍内野守備コーチを務め、来季から新たに二軍野手総合コーチに配転となった。 その仕事始めとなったジャイアンツ球場の秋季練習で、実は川相コーチはあまり動いていない。走塁、守備、状況を設定したケース打撃が行われている間、育成選手たちをじっと見守っている。 「正直言って、僕の出番はありません。今は桑田二軍監督、駒田三軍監督の練習方法を観察させてもらっているところですよ。二軍の守備コーチもふたり(脇谷内野、鈴木外野担当)がいるから、僕が自分でノックをすることもなくなりました」 そう言って「ノックは無用」とオヤジギャグを飛ばした。昭和のコメディアン・故横山ノックのテレビ番組である。 去年の今ごろ、59歳で首脳陣最年長だったにもかかわらず、川相コーチは一軍内野守備コーチとして連日ノックバットを振っていた。シート打撃や内外野のカットプレーでは自ら三塁の守備位置につき、大声で選手たちに指示を飛ばした。併殺を取る練習でもノッカーを務めて、ファンの拍手を浴びていたものだ。 今春のキャンプでも、リーグ屈指の内野手たちを精力的に指導。「ウチが勝ったら、内野手全員がゴールデン・グラブ賞を取ることも夢じゃない」と熱く語った川相コーチの表情は、とても還暦前とは思えなかった。 レギュラーシーズンが開幕すると、一塁コーチとしても4年ぶりの優勝に貢献。ただ、その終盤9月25日には、仙腸関節痛のために一時ベンチ外となった。仙腸関節とは骨盤の仙骨と腸骨の間の関節で、上半身の体重を支え、地面からの衝撃を受け止める役割を持つ。ここに、疲労蓄積による痛みが出たという。 それでも川相コーチはCSファイナルステージまでに完治させて復帰。一塁コーチに立てるのかと聞くと、「立ちます。立たなきゃ面白くないでしょう!」とやはり元気いっぱいに答えている。 CS突破にはあと1勝と迫りながら、DeNAの後塵を拝した。来年は日本一奪回を目指して、川相コーチは二軍で一軍のバックアップに回る。その静かな戦いは、まだ始まったばかりだ。
赤坂英一