愛子さまの「皇位継承」問題、憲法は「女系」を認めても、いまだに「男系男子」の限定ルールに縛られているワケ
「日本の皇位継承における男女平等を保障する必要がある」と国連が日本政府に勧告したのは去る10月末。 【写真】小室圭さんの様子がおかしい…2年前とはまるで「別人」に 日本の憲法では第1条に「天皇は日本国の象徴であり、国民統合の象徴……」と定め、第2条に「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」とあります。そのため、「憲法も改正する必要があるのでは……」と思った人も多いのではないでしょうか。 ただし専門家によれば、「憲法が要請する”皇位の世襲”には、女性を除外していない」とのこと。したがって、憲法改正の必要はなく、皇室典範の第1条から、ジェンダー平等に則って改正していけばいいのだといいます。 『愛子さま 女性天皇への道』をこのほど上梓した、皇室研究者の高森明勅さん(國學院大學講師)に、皇室典範にどんな文言が加われば、女性天皇の道が開け、ジェンダー平等の皇室典範となるのか――。その改正私案の一端をうかがいました。
皇室典範第1条の改正で、女性天皇の道が開ける
まず、皇室典範第1条の改正案は以下の通り。 ○第1条 皇位は、皇統に属する“子孫”が、これを継承する。 現行条文はこうなっています。「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」――違いは明らかですね。憲法が要請する「世襲」には女系も女性も含まれます しかも、これまでに指摘してきたように一夫一婦制のもとで少子化が進んでいるのに、側室制度を前提とした「男系男子」限定という根拠なき縛りを維持することは、ほとんど自殺行為です。 わざと「世襲」を行き詰まらせようとしているとしか思えません。憲法の要請に背くルールというべきでしょう。よって、それを削除しました。これによって女性天皇、女系天皇が可能になります。 このように第1条を改正すると、第2条を何ら変更しなくても、それだけで皇位継承の順序の第1位は「皇長子(こうちょうし)=天皇の長子」なので、現在の皇室にあてはめると敬宮愛子内親王殿下になります。 皇位継承順位が第1位(皇嗣)でしかも天皇のお子さま(皇子)ですから、何もしなくても敬宮殿下が「皇太子」になられます。 秋篠宮殿下は、直系の皇太子が現れた場合は、継承順位は第2位に回られます。するともはや「皇嗣」ではなくなられます。しかし、それはもちろん皇位継承資格を失われることではありません。順位が第1位から第2位に移られるにすぎません。そこは誤解すべきではありません。 では、皇室典範の第2条はまったく改正しなくてよいのかといえば、そうではありません。これまでの皇位継承資格を男子に限定した条文になっています。なので、内親王、女王にも皇位継承資格を認めた形に改める必要があります。 ○第2条 1 皇位は、以下の順序により、皇族に、これを伝える。 一 皇長子 二 皇長孫 三 その他の皇長子の子孫 四 皇次子し及びその子孫 五 その他の皇子孫 六 皇兄弟“姉妹”及びその子孫 七 皇伯叔父“母”及びその子孫 次に改正が必要なのは第5条です。皇族の範囲です。これまでは内親王、女王が結婚されると皇族の身分を離れられたので、当然ながらその配偶者は皇族の範囲には入りませんでした。 また政府の内親王、女王だけが皇族の身分というプランも無理すぎます。そこで、女性皇族の配偶者も皇族の範囲とする規定が必要です。 …では具体的にどういった規定が必要なのでしょうか。皇室研究者の高森明勅氏がその詳細を後編記事の<国民から圧倒的に支持をあつめる、愛子さま「女性天皇」の誕生…男系男子限定の「皇室典範」はこう改正せよ>で明かします。
高森 明勅(皇室研究者)