マイクロソフトのAIツール、Copilotがもたらすコーダーの働き方改革
ヘッジズ氏にとって、Copilotの月額定額料金10ドル(約1500円)はお得なサービスだ。ゲーム「ダンジョンズ&ドラゴンズ」のファン向けウェブサイトを作成している同氏は、幼い子どもの親としても多忙な毎日を送っている。「自分のためにコードを書く夜の2時間をとても大切にしている」とヘッジズ氏。もうすぐ2人目の子どもが誕生する同氏は「効率性が高いのは歓迎だ」と話した。
テクノロジーの精度を評価する試みとして、カナダのウォータールー大学は昨年、ある実験を発表した。既知の欠陥があるコードスニペットと、それらのミスの修正で構成されるデータセットを収集し、Copilotにこれらの正確なスニペットを作成するよう促し、バグがあるバージョンを出してくるかどうかを確認した。Copilotは33%の確率で欠陥のあるバージョンを再現した一方、4分の1のケースでは修正されたコードを提案した。Copilotは概して複雑なエラーよりも基本的なエラーの回避に優れていたと、同校でコンピューターサイエンスを教えるメイ・ナガッパン教授は話した。
「自動車に例えるなら、今は運転支援の時代であり、まだ自動運転の段階ではないということだ」と同教授は述べた。
ソフトウエアエンジニアの働き方を変えるのには時間がかかる。多くはCopilotを歓迎しているが、過剰な依存を警戒している。GitHubが出資した最近の調査では、開発者がCopilotの提案を受け入れた割合はわずか27%だった。
また、エンジニアは何か問題が発生するとすぐにCopilotのせいにすることがある。昨年10月と12月に通販サイト運営エッツィで短時間のサイト不具合が起きた際、同社開発者の一部はCopilotのせいだと指摘した。
Copilotは今後数年で劇的に改善される見込みだ。GitHubはすでに、顧客企業のプログラミングコードに基づいて質問に答えることができるエンタープライズ版などの機能強化を展開している。新人エンジニアがスピードアップするのを助け、ベテランのコーダーがより速く作業できるようになるという。同社は今後数カ月で、エンジニアが雇用主のコードベースを利用して作業中プログラムのオートコンプリートを可能にする予定だ。これにより生成されるコードはよりカスタマイズされ、役立つものになるだろう。