宇宙葬、モニュメント墓、墓友──「終活の時代」にみる最新お墓事情
静かなブームの「樹木葬」と、世界で話題の「宇宙葬」
散骨と並んで、最近ブームを呼んでいるのが「樹木葬」です。これは遺骨を樹木の根元の「土中に埋葬する」ものです。「遺骨を土中に埋葬する」ことは法律上の「お墓」に当たり、樹木がお墓の墓標の役割を果たしているわけです。墓地、もしくは墓地の認可を受けた場所で樹木葬を行うことには法律上の問題はないので、樹木葬は全国で行われています。その多くは、樹林墓地の合祀葬(合同で祀る、共通墓)の形です。 また、散骨の中で大きな話題を呼んでいるのが、星空への憧れをかきたててやまない、宇宙への散骨です。樹木葬が、遺骨を命のふるさとである大地に還す、あるいは、土に還って大自然と一体になり末永く生き続けるものだとすれば、遺灰を大宇宙に溶け込ませるもの。それが、大空への散骨の一種である、いわゆる「宇宙葬」なのです。 宇宙葬は、遺骨(遺灰)をカプセルに詰めたロケットを宇宙に発射し、人工衛星で地球を周回させ、ついにはそれが大気圏に突入して燃え尽きて、宇宙の虚空に消滅するというものです。これを実施しているのはアメリカの民間企業ですが、日本でも受付をしています。
アートのような「モニュメント墓」が次々と生まれている
墓地には、民間霊園、公営墓地、寺院墓地、共同墓地、の4種類ありますが、霊園見学に初めて行かれる方は、たいてい驚くようです。というのも、最近の多くの霊園は、広々とした美しい花々が咲き誇る庭園の中に、お墓が整然と無理なく溶け込んだ、ガーデニング霊園になっているからです。 実際、世界的に有名なガーデンデザイナーや植栽デザイナーなどが庭園の設計やガーデニングを手がけていて、目を見張るほど見事なものが少なくありません。墓地が、お参りする人にとって故人を偲ぶ場であると同時に、美しい自然に包まれた「安らぎ」の場となっているのです。 また、以前は伝統的な和型三段墓という墓が一般的でしたが、10年ほど前から洋型墓石が増え、現在は多数を占めています。洋型墓石は、 ・四角のストレート型、もしくはオルガン型と言われる、シンプルな形の墓石 ・それに曲面や丸みを付けたニューデザイン墓石 ・仕事や趣味、人生を表現した、モニュメント的なオリジナルデザイン墓石 の三つに大別されます。これらの墓石は、石の色もさまざま、素材も多種多様、大きさや形も千差万別で、とくにオリジナルデザイン墓石は、自分の「生きた証」を遺したい、という気持ちから、斬新なデザインが生まれています。 ・カラフルなサーフィンボード型お墓 ・弁財天のステンドグラスに見守られたピラミッド型お墓 ・天国への階段型お墓 ・愛する自社ビルを模したお墓 ・ジャンボジェット機も配置した、空港の管制塔型お墓 など、オンリーワンのお墓が、近年さまざまに建てられているのです。