月と惑星たちの共演がめじろ押し、土星食も楽しめる今週の夜空
天体観測で目撃できる最もすばらしい光景といえばおそらく皆既日食だろうが、次点は何だろうか。確かなことは、西の夕空で三日月と宵の明星が寄り添う姿は息をのむ美しさであり、今週はそれが拝めるという事実だ。しかも、月と金星の共演は年明けまで楽しめる。 【画像】地球照を伴った三日月、そして木星 さらに「惑星の王」こと木星が、今週末に「衝(しょう)」を迎え、我こそはイエス・キリストの生誕を告げた「ベツレヘムの星」の正体だといわんばかりに明るく、大きく輝く。 2024年12月第1週の夜空について、知っておきたいことをまとめた。 ■12月3日(火):細い三日月 難しいが、非常にやりがいのある観察に挑戦する気があるなら、南西の地平線近くまで見晴らしのよい場所に行こう。日が沈んだ直後、明るくきらめく金星の下、地平線すれすれのあたりに目をこらすと、極細の三日月が見えるはずだ。どちらもあっという間に沈んでしまうので、ほんの束の間の共演だが見て損はない。 ■12月4日(水):月と金星がやや離れて並ぶ 満ちていく月と「宵の明星」の共演は、今週の天体ショーのハイライトだ。金星は来年2月に「最大光度」となるため、非常に明るさを増している。 ■12月5日(木):月と金星が隣り合う さらに明るさを増した細い月のすぐ横に、金星が並んで見える。月は、欠けた部分がうっすらと見える「地球照」を伴っているだろう。 かのレオナルド・ダ・ヴィンチがスケッチに残していたことから「ダ・ヴィンチの輝き」とも呼ばれるこの現象は、月の太陽に面していない側(影)が、地球上の海や氷、雲に反射した太陽光に照らされてぼんやり光って見えるものだ。 ■12月6日(金):金星、月、土星が並ぶ 前夜ほど劇的な眺めではないものの、月を挟んで左上に土星、右下に金星がほぼ一列に並んで見える。金星は日々、地球に近づいて明るさを強めているが、土星は逆に地球から遠ざかっている。 ■12月8日(日):木星が「衝」となる 太陽系最大の惑星が、地球を挟んで太陽とちょうど正反対の位置にくる「衝(しょう)」を迎え、この1年間で最も大きく、明るく輝く。「ベツレヘムの星」の物語にインスピレーションを与えたのは、もしかすると衝となった木星なのかもしれない。 この日、木星と地球、太陽は一直線に並ぶ。西に沈む太陽とちょうど入れ替わりに東から昇ってきた木星は、最も地球に近づいた状態で、太陽光を反射して光っている面を正面から見せてくれる。望遠鏡や双眼鏡で「惑星の王」を観察する絶好の夜だ。観測チャンスは来年1月中旬まで続く。 ■12月8日(日):土星食 上弦直前の月と土星が大接近し、日本列島の広い範囲で、月が土星を隠す「土星食」が見られる。土星は月の上部から姿を消し、右側に再び出現する。
Jamie Carter