トヨタ、ステージ6連勝で前半戦を制圧。最速アル-アティヤに10分加算で1秒差の逆転【ダカールラリー2025】
1月9日、サウジアラビアを舞台に開催されている2025年W2RC世界ラリーレイド選手権の開幕戦『ダカールラリー2025』のステージ5が行われ、トヨタ・ガズー・レーシングのセス・キンテロ(GRダカール・ハイラックスEVO)がステージウインを飾った。そして総合順位では、トヨタ・ガズー・レーシングのヘンク・ラテガン(GRダカール・ハイラックスEVO)が首位に立ち、10分17秒のリードを築いている。 【写真】タイムペナルティを受けてステージ2番手にダウンしたナッサー・アル-アティヤ(ダチア・サンドライダー) 1月3日に開幕した2025年大会はこの日でステージ5に突入し、前半戦を終えようとしている。今年は序盤から、WRC世界ラリー選手権のレジェンドであるカルロス・サインツ(フォードMスポーツ)やセバスチャン・ローブ(ザ・ダチア・サンドライダーズ)らが激しいクラッシュに見舞われ、早々にリタイアしてしまうという波乱の幕開けとなった。 さらに8日のステージ4では、W2RC王者で5度の制覇を誇るザ・ダチア・サンドライダーズのナッサー・アル-アティヤ(ザ・ダチア・サンドライダーズ)もタイヤトラブルに見舞われて首位から約30分後退するなど、実力者を次々と災難が襲っている。 迎えたステージ5『アルウラ~ハイル』全492kmは、ステージ4とセットで『マラソンステージ』として特別ルールが設定されている。これは、メーカーとプライベーターのリソース量による格差をなくすべく、両区間でチームのアシストメンバーによる援助を禁止し、各クルー自身による車両メンテナンスを義務付けるものだ。 ステージ5の路面については、序盤のダートを超えたのちは大部分がサンドとなっているものの、終盤にかけては岩場が増えるのが特徴だ。 まずは、泥の多い序盤でX-RAIDミニJCWチームのゲラン・シシェリ(ミニJCWラリー3.0I)がステージをリードする。 そこにフォードMスポーツのマティアス・エクストローム(フォード・ラプター)と、アル-アティヤ(ダチア)が追い付き、三つ巴のトップ争いを展開した。 しかし、ステージ中盤付近でシシェリ(ミニ)が原因不明のタイムロス。15分以上の遅れを取ったことでアル-アティヤ(ダチア)がリードを奪い、その後ろに位置付けるエクストローム(フォード)と、代わってトップ3に加わったトヨタのラテガンを従えてステージ後半に突入していく。 さらに、総合順位の影響でかなり後方からアタックを開始したトヨタ・ガズー・レーシングのセス・キンテロが後半にかけてペースアップ。エクストローム(フォード)とラテガン(トヨタ)の2番手争いに割って入るまで順位を上げた。 その争いを尻目に、アル-アティヤ(ダチア)は安定したペースでリードを拡大し、後続に約10分の差をつけて最速でフィニッシュラインを切った。しかし、タイム計測後にアル-アティヤに対して10分のタイムペナルティが言い渡され、その影響でまさかのポジションダウン。理由はフィニッシュ時にスペアホイールがなかったためだという。 その結果、9分59秒差で暫定ステージ2番手につけていたキンテロ(トヨタ)がまさかの1秒差でアル-アティヤを逆転し、今大会2度目のステージウインを飾った。これで、トヨタ・ハイラックスはプロローグからステージ5まで6連勝となり、大会前半の全セッションで最速タイムを残した。そしてステージ3番手の座はエクストローム(フォード)の手に渡った。 総合順位では、ステージ4番手タイムを刻んだラテガン(トヨタ)が10分17秒にリードを拡大。その背中を追うのは、総合2番手につけるオーバードライブ・レーシングのヤジード・アル・ラジ(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブ)と、総合3番手エクストローム(フォード)のふたりだ。 一時はステージ最速タイムを刻んでいたアル-アティヤは、総合4番手まで順位を上げ、トップと25分差までギャップを縮めていたものの、このステージでのタイムゲインはペナルティで相殺されて35分差に戻ってしまった。 二輪部門では、序盤からホンダ、KTM、ヒーローの各ファクトリーライダーがステージベストを刻み合う激しいタイムバトルが展開された。 折り返すころには、2024年W2RC王者であるヒーロー・モータースポーツ・チームラリーのロス・ブランチ(ヒーロー450ラリー)がステージトップに立った。しかし、後続との差は各車につき1分ずつとかなりの僅差でバトルが続く。 ただ、そのすぐ背後でペースアップのタイミングを伺っていたモンスターエナジー・ホンダHRCのエイドリアン・ファン・べベレン(ホンダCRF450ラリー)が後半にスパート。中盤に先頭に立っていたブランチ(ヒーロー)やモンスターエナジー・ホンダHRCのリッキー・ブラベック(ホンダCRF450ラリー)を抜き去り、そのまま引き離すハイペースを披露して全体ベストでステージ5を走破した。 しかし走行後に、べベレン(ホンダ)に対してまさかのスピード違反が発生し、2分のタイムペナルティが加算。これによってステージトップの座は、同じくステージ後半に追い上げたレッドブルKTMファクトリーレーシングのルチアーノ・ベナビデス(KTM450ラリーファクトリー)の手に渡り、今大会初のステージウインを飾ることになった。 こうして2番手タイムはべベレン(ホンダ)となり、ステージ3番手にはヒーロー・モータースポーツ・チームラリーのホセ・イグナチオ・コルネホ(ヒーロー450ラリー)が続いた。 2輪部門の総合順位では、ここまでリードを守り続けているレッドブルKTMファクトリーレーシングのダニエル・サンダース(KTM450ラリーファクトリー)が首位をキープ。2番手以降もモンスターエナジー・ホンダHRCのトーシャ・シャレイナ(ホンダCRF450ラリー)、ブランチ(ヒーロー)がポジションを維持しており、3メーカーが表彰台を争う展開で2025年大会は折り返しを迎えた。 明日10日(金)は、ダカールラリー2025唯一の休息日となっており、走行は11日(土)より再開予定。続くステージ6『ハイル~アル・ドゥワディミ』全829km(ステージ605km/リエゾン224km)からは、いよいよ優勝争いが激しさを増す後半戦に突入する。 [オートスポーツweb 2025年01月09日]