サミ・パヤリの“最高峰”追加参戦が決定。WRC終盤2戦でGRヤリス・ラリー1に搭乗、勝田貴元は「短い休息」のためチリをスキップ
WRC世界ラリー選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)は9月11日、2024年シーズンのWRC第11戦『ラリー・チリ・ビオビオ』および第12戦『セントラル・ヨーロピアン・ラリー』において、サミ・パヤリに参戦機会を与えることを明らかにした。 【写真】WRCの次戦チリを欠場することとなった勝田貴元 パヤリはトヨタのWRCチームの本拠があるフィンランド出身の若手ドライバー。2021年にジュニアWRCでチャンピオンを獲得した彼は現在、WRC直下のカテゴリーであるWRC2クラスに参戦しており、この2024年シーズンはコドライバーのエンニ・マルコネンとともにGRヤリス・ラリー2を駆り、『ラリー・イタリア・サルディニア』でクラス優勝を記録。先週末に行われた『アクロポリス・ラリー・ギリシャ』ではイタリア、ポーランド戦に続く今季3勝目を飾っている。 また、8月に行われた母国戦『ラリー・フィンランド』ではTGR-WRTのトヨタGRヤリス・ラリー1でトップカテゴリーに初出場すると、デイ2に早くもステージウインを飾ったほか、天候の変化により難しいコンディションとなったラリーを総合5位でフィニッシュしてみせた。この結果、22歳のフィンランド人は関係者やファンに強い印象を残すこととなった。 これらの活躍を受け、TGR-WRTはラリー界の期待を背負う若手選手であるパヤリの成長をサポートし、トップカテゴリーでさらなるスキルを試す機会を提供することを決定した。具体的にはパヤリ/マルコネン組をシーズン終盤のふたつのラウンドで、ラリー1のクルーとして迎えることになる。 彼らは9月26~29日に南米で開催されるグラベル(未舗装路)ラリーの第11戦チリに、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組に続く4台目のクルーとして出場する。 また10月17~20日にドイツ、チェコ、オーストリアの3カ国をまたぐかたちで開催されるターマック(舗装路)イベントの第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリーには、エバンス/マーティン組、オジエ/ランデ組、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組とともに4台目としてエントリーする予定だ。いずれのラウンドでも、パヤリ/マルコネン組はラリー・フィンランド参戦時と同じホワイトのGRヤリス・ラリー1をドライブするが、これは若手ドライバーの育成を目的としたTGR WRCチャレンジプログラムと連動したものとなっている。 なお、勝田/ジョンストン組はチリでTGR-WRTのラインアップから一時的に外れることとなるが、続くセントラル・ヨーロピアン・ラリーではラインアップに復帰し、トヨタと勝田にとって“ホームイベント”となる最終戦『ラリー・ジャパン』とあわせて終盤2戦を戦っていく。 今回のラインアップ変更についてTGR-WRTは、「チームは勝田およびジョンストンに全面的なサポートを続けており、厳しい競争が続いた今シーズン、短い休息によりリセットし、さらに強くなって戻ってくることを期待しています」と結んでいる。 ■ヤリ-マティ・ラトバラ(TGR-WRTチーム代表) 「ラリー・フィンランドでのサミの素晴らしいパフォーマンスを見て、彼がラリー1車両に乗るチャンスをさらに与えたいと思った。フィンランドでの主な目的は経験を積んでもらうことだったが、彼はそれだけでなく高いポテンシャルを証明した。ギリシャでもまたGRヤリス・ラリー2でハイレベルなドライビングを見せてくれた」 「才能ある若手ドライバーにさらなる投資を検討するなかで、まずは世界の反対側にあるチリのさまざまなグラベル路面で、そしてセントラル・ヨーロッパの異なるターマック路面での彼の能力を確認したいということになった。4台目のエントリーなので、選手権ポイントのプレッシャーはない。私たちにとっては将来への投資だ」 「(勝田)貴元にとっては厳しいシーズンになっているが、チームは全面的に彼をサポートしているし、彼にスピードがあることは誰もが理解している。この休息で一度リセットし、大事な最後の2戦に向けて充電できると思う。とくにラリー・ジャパンでは彼がふたたび表彰台を争ってくれることを期待しているんだ」 ■サミ・パヤリ(5号車トヨタGRヤリス・ラリー1) 「今シーズン中にGRヤリス・ラリー1・ハイブリッドであと2戦もチャンスをもらえるなんて、こんなに素晴らしいことはない! TGR-WRTが僕を信じてくれていることがわかり、とても嬉しく感じている」 「ラリー・フィンランドで夢が叶い、その後、もっともっとラリー1車両に乗りたいという気持ちが芽生えていた。だけど、こんなに早くそのチャンスが来るとは思っていなかった。高速で流れるような道が多く、フィンランドと少し似ているチリのグラベルはとても楽しみだ」 「セントラル・ヨーロピアン・ラリーは昨年のように雨で泥が多く出て、さらに厳しくなる可能性がある。ラリー1車両でのそのようなラリーは初めてなので大きな挑戦になるだろうが、それに立ち向かえることをとても嬉しく思う」 [オートスポーツweb 2024年09月11日]