「旬が終わったら捨てられる」と思っていたーー上京から6年、あいみょんの変化
シンガー・ソングライターを目指し、20歳の頃に兵庫県西宮市から上京したあいみょん(27)。大家族の元を離れて不安を感じつつも、バイトをしながら音楽を作り、一人の暮らしに馴染んでいった。今や、代表曲「マリーゴールド」はストリーミング再生累計4億回を突破。数多くの楽曲が映画やCMにも起用される。上京してからどんな変化があったのだろうか。(取材・文:金子厚武/撮影:藤原江理奈/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
しばらくは不安しかなかった
〈君も大人になったら恋をするんだよ〉。1000人の18歳世代と共演するNHK『18祭』から生まれた「双葉」という曲で、あいみょんはこう歌っている。 「『大人になるのはそんなに悪くないよ』っていうのを、シンプルに伝えたいと思った時に、一番開けててわかりやすい表現だと思ったんです。大人になることのワクワクを歌うには、恋が一番いいのかなって」 かつては「19歳になりたくない」(2015年)という曲を作ったことも。「大人になるのはそんなに悪くない」と思えるようになったのは、いつからだろうか。 「シンガー・ソングライターとしてやっていけるかもと思えたのが、『君はロックを聴かない』(2017年)ができた時。それまでは不安しかなかったです。18歳の夏に事務所に声をかけられて、2年間くらい路上で弾き語りをして、急に上京だったので、『ほんまに大丈夫かな。(事務所に)騙されてる?』『どうせ旬が終わったら捨てられる』と思ってました。夢を持ち過ぎるとマイナスなことが起きたときに落ち込んじゃうから、マイナス思考でいなきゃと思って、口癖のように『今だけなんで』って、自分に言い聞かせたり。でも、最近は言わなくなりました。自信がついたんですかね」
兵庫県西宮市出身のあいみょんがシンガー・ソングライターを目指して上京したのは、2016年、20歳の冬。6人きょうだいの大家族に生まれ、にぎやかな環境で育った彼女にとって、上京は簡単な決断ではなかった。 「お母さんのお兄ちゃんにトラックを運転してもらって、夜中に出て朝の6時くらいに東京についたんですけど、トラックの前できょうだい6人並んで撮った写真があって、私めっちゃ泣いてて。その写真は今でもたまに見返します」