女性は「地方にいろ」と言うのか…「消滅可能性都市」増田レポート最新版が押し付ける「少子化の責任」
問題は「出生数」
だがそれでも、今の若い女性たちが、都市の中で困難を抱えながらもきちんと子どもを産み育てているのならばよい。次のことをあらためて確認しよう。 ・過疎は問題ではない。過疎地の向こうには過密地がある。過疎化が進行し、人口が減少しても、過密地から人口が供給されればゼロにはならない。 ・これに対し、問題なのは実は都市の方、過密の側である。若い女性を集めている都市、そこで実は子どもが生まれていないということだ。 問題は若年女性の数ではない。問題はその出生率、結果としての出生数である。より正確に言えば、出生力である。 誤解ないように言っておくが、出生力は女性のみに帰してはならず、また特定の地域のせいにしてもならず、男性を含め、すべての地域を含めた社会全体の出生力として考えなくてはならないものである。 その出生力だが、いま日本の年間合計特殊出生率は1.25(2023年)である。地方創生が始まった2014年には1.42あった。かつて1.25まで下がり、その後上昇していたものが、皮肉なことに地方創生以降、減少し、再び過去最低水準にまで落ち込んでいるのである。 人口が次世代にも同じ数で維持されるためには、この合計特殊出生率が2以上なくてはならない。合計特殊出生率1.4とは、1世代で子どもの数が70パーセントに減少するということを意味している。実際に子どもの数は年々減少し、2015年まで100万人以上あった出生数が、2023年には75万人となり過去最低を更新中だ。 その時、都市部と地方で出生力が違わないのなら、今度はここで地域間の出生力ゲームを煽るのは一つの手かもしれない。だが、実際に見られることは、都市部でこそ、それも政令指定都市のような大都市でこそ、出生率が低いということである。逆に地方で、農村で高くなっている(ただし東日本、西日本でその性質が違うことには注意だが、ここでは割愛する)。