八ヶ岳登山に最適「オーレン小屋」 人と人との「縁」を紡ぐ、おもてなしの心溢れる山時間!
■目的の硫黄岳を目指す
オーレン小屋に泊まって充実した一夜を過ごし、翌朝は旅のクライマックスとなる硫黄岳に出かける。今回の山行プランは、まず赤岩の頭に向かい、山頂を経て、夏沢峠から小屋に戻ってくる周回コースだ。 オーレン小屋のテント場の奥にある登山口から山に入ると、シラビソの樹林帯に囲まれた道が続いている。これを登っていくと、ハイマツやダケカンバ、シャクナゲの低木が増えはじめ、稜線まで出ると赤岳鉱泉から上がってくる道と合流する。 稜線まで出ると硫黄岳の姿が見え、尾根沿いに登り進むと山頂にたどり着く。ピークは平坦なスペースになっており、山頂標識が置かれているところが硫黄岳の山頂だ。すぐそばに爆裂火口による切れ落ちた崖が半円形に広がり、その縁にそって散策するとダイナミックな岩壁が見え、その高さや規模に驚かされる。 遮蔽物のない山頂はパノラマで景色が広がる絶好のロケーション。赤岳、中岳、阿弥陀岳が連なる景色や、東と西の2つのピークが並んだ天狗岳など、周囲の景色を眺めているだけであっというかに時間が過ぎていく。 山頂の絶景をひとしきり楽しんだら、夏沢峠に向かってオーレン小屋に戻る。平坦な砂礫が広がる硫黄岳は悪天候などで雲がかかるとルートがわからなくなるため、目印となる大きなケルンが登山道沿いに転々と置かれている。 夏沢峠は南八ヶ岳と北八ヶ岳の境にあたり、峠まで下りてくると岩稜帯だった山の景色が、うっそうとした森へと変わっていく。峠からオーレン小屋に下りていく道は苔むした森が広がる北八ヶ岳らしい雰囲気だ。 オーレン小屋は、硫黄岳をはじめ、箕冠山や根石岳などさまざまな山へと向かえる好立地。不要な荷物は小屋に荷物を置いていけるので、背負う荷物を軽くできるのもありがたい。登山口から近くて居心地がよく、ごはんもおいしいオーレン小屋は、八ヶ岳登山を快適に楽しめる最高の環境といえるだろう。 <おすすめルート> ・1日目 桜平→夏沢鉱泉→オーレン小屋[泊] (所要時間:1時間20分) ・2日目 オーレン小屋→硫黄岳→硫黄岳→夏沢峠→桜平 (所要時間:3時間10分) 栗山 ちほ(くりやま ちほ) 長野県出身。標高1300mの八ヶ岳山麓育ち。幼少から自然と親しみ、夏は登山、冬はスキー&スノーボードと、通年アウトドアを楽しんでいる。 スキー誌を経てフリーランスとして独立後、ウィンタースポーツや登山の雑誌・Webのライターとして活躍。 ときどき山ごはんのレシピ提案や執筆も担当している。 中西 隆裕(なかにし たかひろ) スノーボードを片手に行き来した各国の山々と触れ合ううちに、その景観や雰囲気を写真に収めたいと思い始める。 機動力を重視してテレマークスキーに乗り換え、冬は撮影に良い状況を求めて柔軟に移動できる車中泊ベースの生活に。 グリーンシーズンは山歩き、紅葉撮影、テント泊など、自然環境を感じられる活動を続ける。 スキーヤー・スノーボーダーの撮影を中心に活動中。
栗山 ちほ,中西 隆裕