ずばり「平均以下」な完成度 スカイウェルBE11へ試乗 サイズ感はiX3 お値段はQ4 e-トロン
サイズ感はiX3 お値段はQ4 e-トロン
中国のバッテリーEVへ詳しい読者でも、スカイウェルはご存知ないかもしれない。だが、英国での販売が始まろうとしている。 【写真】ずばり「平均以下」な完成度 スカイウェルBE11 近似サイズの電動SUVと写真で比較 (164枚) 同社は、中国の家電メーカーのスカイワース社と、電動バスメーカーの南京ゴールデンドラゴン社による合弁事業として、2017年に誕生。グレートブリテン島へは、英国のイノベーション・オートモーティブ社が輸入する計画を進めている。 スカイウェルがライバルとして掲げるのは、メルセデス・ベンツやアウディ。現状では、かなり野心的な目標といって良いだろう。 今回試乗したBE11は、同社初の量産バッテリーEV。駆動用バッテリーと航続距離は、72kWhで399km、86kWhで489kmが主張される。駆動用モーターは、203psと32.5kg-mで共通。フロントに載り、前輪駆動だ。 ボディの寸法は、全長が4720mmで、全幅は1908mm、全高は1696mm。比較的大きめのSUVといえ、サイズ感ではBMW iX3へ近い。 英国価格は、3万5000ポンド(約665万円)前後からが見込まれている。価格帯的には、トヨタbZ4XやフォルクスワーゲンID.4、アウディQ4 e-トロンなどが並ぶ。 スタイリングは、多くの中国製モデルと異なり、クセが弱め。少し地味かもしれないが、シンプルで悪くはない。 カッターナイフのようなヘッドライトはLEDで、クロームメッキのアクセントが全体を引き締める。アルミホイールは、19インチのダイヤモンドカットだ。リア側は、ワイドなテールライトが現代的。点灯すると、SKYWELLと浮き上がる。
見劣りするインテリア 癖のあるアクセルの反応
車内空間は、パノラミック・ガラスルーフのおかげで明るく開放的。小物入れなどは充実し、リアシート側も大人がゆったり過ごせる。 ダークグレー基調の内装は、同価格帯のモデルより見劣りする。ウッドパネルはフェイク感が強く、合成皮革のシートは硬め。傷が付きやすそうなプラスティックも多い。 ダッシュボード中央に収まるのは、12.8インチのインフォテインメント用タッチモニター。ソフトウエアは軽快に動作していたが、バグも残っていた。特にスピードメーターは、km/hからマイル表示へ切り替えられなかった。 カーナビは、まだ英国では機能しない様子。アップル・カープレイにも対応していない。タッチモニターのメニュー画面も、アイコンが小さく扱いにくい。回生ブレーキの強さを変えるには、メニューを掘り下げる必要がある。 公道へ出てみれば、1基の駆動用モーターが不満ないパワーを発揮する。高速道路の合流車線でも、力不足を感じることはなかった。 ただし、少し鋭い加速を求めると、重心は後方へ移動。フロントのトラクションが弱まり、タイヤが暴れようとする。また、アクセル操作に対する反応にも癖があり、全体的にワンテンポ遅れ気味。出力特性には、少し調整が必要だろう。 回生ブレーキの効きは、もう少し強められても良い。アクセルペダルを緩めても期待したほど減速せず、ブレーキペダルを踏む時間は短くない。その感触はスポンジーで、滑らかに停止するには踏む加減を調整することになる。