「動く点P」はなぜ動くのか…「数学を勉強しても意味がない」と絶望する受験生に、東大生が伝えていること
■“未来を予想する力”も身につく また、数学的素養がある人の方が、未来を予想する能力が高くなるとも言われています。 例えばみなさんがお店を運営しているとしましょう。1つの商品がどれくらい売れるのか考えて、在庫を買わなければなりません。在庫は、たくさん持ってしまうと倉庫を圧迫してしまいますし、かといってあまり在庫を持たないと売り切れになってしまうかもしれません。「その商品がどれくらい売れそうなのか」は事前に考えなければならないわけです。 この時に重要なのが、高校生で習う「微分」の考え方です。微分とは、「細かく(「微」に)分けて考える」ということで、ざっくり説明してしまうなら一定の瞬間の変化を求めることで変化率を導く方法です。 例えば、1カ月で人気商品がどれくらい売れるのかを考えるとしましょう。このとき、1カ月間、毎日ずっと確認していれば「1カ月で何個売れるのか」の答えを出すことができますが、そんなことをしなくても、「1日で何個売れるのか」を調べれば、1カ月でどれくらい売れそうかは導くことができます。 仮に1日で10個売れるのであれば、30日で300個売れるのではないかと考えられますよね。 ■“数学”を使えたほうが活躍の幅が広がる 我々の生活では、この微分の考え方が至る所で使われています。自動車に乗ると時速が表示されますよね。1時間走っているわけでもないのに、「1時間でどれくらい進むのか」が表示されています。あれは、自動車のタイヤの車軸に回転数を測るセンサーがついており、その回転数をコンピューターが速度に変換する計算が行われているからです。 このように、微分の発想で物事を考えることはいろんな場所で応用されており、社会で当たり前に使うものなのです。 もちろん社会に出て、「この微分の問題を解け」という問題を直接聞かれることはないですが、「これって、微分を使ったら答えが導けるのではないか」と考えることはできるわけです。そうできる人とそうできない人で、はっきりと差がついてしまうものなのです。 いかがでしょうか? 社会に出てから、数学を使わないで生きていくことももちろんできるのでしょう。でも、数学を活用して、論理的な思考を使って生きている人の方が、社会で圧倒的に活躍することができるというわけです。この話を知っていると、数学の勉強への意欲や納得感が変わり、成績にも良い影響がどんどんあらわれていきます。