「動く点P」はなぜ動くのか…「数学を勉強しても意味がない」と絶望する受験生に、東大生が伝えていること
■物事を整理し、優先順位をつけられるようになる さて、この座標に関して、中学生ではX軸とY軸で構成される座標平面の中には「象限」という考え方があるということを習います。(図表2) この図のように、右上、左上、左下、右下の4つの場所を分けるものです。XもYも正の数なら第一象限・XもYも負の数なら第3象限、というようなものですね。先ほどの図で言うなら、読書感想文は第1象限、日記は第4象限になります。 今回の場合、「締め切りが早い」×「時間がかかる」の場所、つまり第1象限にあるものの優先順位が一番高いと考えることができます。今回の場合、そこに位置するのは読書感想文ですよね。そう考えると、読書感想文から実践するべきなのではないかと考えることができます。 このように、「X軸」「Y軸」に落とし込むと言うのは、物事を整理したり、優先順位を付けたりする時に有効な考え方であり、仕事をする上で非常に役に立つものだと言われています。 例えばコンサルティング系の会社では、「X軸とY軸でマトリクスを作って、物事を4つに分けて整理していく」というような思考法は非常によく登場しますし、「もはや使えないと話にならない」なんて言われるくらいのものです。 ■「高倍率」「高年収」ほど数学的素養が求められる ちなみに、コンサルティング系の会社ではよく、就職面接の中で数学の質問をすることが多いと言われています。 「サイコロを2つ振って、その目の合計の値を調べる。この時、出る目の値として一番出やすいにはどれ?」というような質問をして、パッと「6通りある7」と答えられるかどうかを見て、「あ、彼女はこの会社で働ける人材だな」「彼は難しいかもしれないな」というように判断を下すのだそうです。 コンサルティング系の会社以外にも、外資系・金融系の会社では、数学的な質問が就職面接でよく出題されることが知られています。倍率が高く、年収も高い企業では、人材の質を見るために数学の質問をするのです。 なぜ、数学の質問をするのか。それは、先ほどのマトリクスの考え方もそうですが、数学的な素養が身についている人の方が、論理的に物事を考え、適切に優先順位を付ける能力があると考えられているからです。 社会に出て年収の高い会社に就職することができるかどうかは、数学的素養があるかないかによって変わってきてしまうかもしれないわけです。