「動く点P」はなぜ動くのか…「数学を勉強しても意味がない」と絶望する受験生に、東大生が伝えていること
■「こんな風に役立つ」と提示することが大事 実際に日常生活でありそうなシチュエーションですよね。もしどっちでもいいでしょ、と当初から考えてしまっては、損してしまうかもしれません。 この問題と解説をもとに「移動する点Pをちゃんと学んでおけば、得するんだよ」ということを伝えると、「へえ、こんな風に今までの数学の勉強は実社会で役に立つのか」と納得感を得られることが多いです。解けたかどうかにかかわらず、物事を数学的な思考で考えてもらうことに繋がります。それが狙いです。 このように、一見するとあまり役に立つタイミングがないように見える問題でも、数学が役に立つケースはたくさんあります。 例えば、グラフを使った問題ってありますよね。例えば中学生に上がると、「X軸」「Y軸」を使った問題を解くようになります。 「点PのX座標は3でY座標は4だから、P(3,4)とおく」とか、そんな感じの問題が出てきますが、これに対して、「なんでxとかyとか勉強しなければならないんだ? こんなの大人になってから使わないじゃないか」と考える中学生は多いと思いますが、実はそんなことはありません。実際に大人になってから使う場面が多いのです。 ■「夏休みの宿題」をグラフに落とし込んでみる 例えば、こんな問いを考えてみましょう。 ---------- 「夏休みの宿題をなんとかしたいけれど、どれから手を付ければいいかわからないとします。この場合、どうやって優先順位をつければいいでしょうか? それぞれの宿題は、以下の通りです」 ・英語の問題集 8月20日まで 結構残っていて大変 ・読書感想文 8月20日まで まだ本を読んでいない ・数学の宿題 8月25日まで もう少しで終わりそう ・国語の宿題 9月3日まで もう少しで終わりそう ・日記 9月1日まで 貯めてしまっているので時間がかかりそう ・自由研究 9月1日まで とりあえず題材は決まった ---------- 一見するとややこしそうに見えますが、こんな時、X軸とY軸を導入すると、次のようなグラフ(図表1)で表すことができます。 これは、 X軸「すぐに終わるか時間がかかるか」 Y軸「締め切りが近いか遠いか」 でグラフを作り、それぞれのステータスをプロットしたものです。