パリを拠点にする日本人デザイナー、宮白羊の「Hakuyo Miya Paris」を紐解く
動画では、大量生産品との比較を通じて、消費者に考えるきっかけを提供しています。 また、「2ユーロのTシャツ」という、ドイツ・ベルリンで制作された啓発動画も消費者の意識を変える良い例です。この動画は、安価な衣料品の裏側にある労働搾取の実態を示しつつ、消費者に選択を迫る内容となっています。 環境問題の解決には、消費者の意識変革、企業の取り組み、行政の規制など、包括的なアプローチが必要です。大手ブランドには雇用を生み出す力があり、彼らの協力なしには問題解決は難しいでしょう。 最終的には、ファッション業界から世界を変える可能性もあると考えています。労働搾取をなくし、環境に配慮した生産方法を採用することで、他の産業にも良い影響を与えられるかもしれません。私自身も、できることから少しずつ取り組んでいきたいと考えています。
ー今後、挑戦していきたい取り組みについてもお聞きしたいです。 啓発的な発信も私の活動の一つです。洋服を作り、その過程を公開することは、それ自体が重要なメッセージになっていると考えています。 私の役割は、洋服の本来の価値を再認識してもらうことだと考えています。20~30年前と比べ、現在は洋服の価格が大幅に下がっています。たとえば、高品質なコットンシャツが非常に安価で手に入るようになりました。この「安さ」の常態化が、洋服の価値低下を招いているのです。 私たちは、洋服に適正な価格が支払われる環境を目指しています。製作過程を公開し、その工程や関わる人々を見せることで、本来の価値を理解してもらいたいと考えています。 これは「大量消費を控えて」というメッセージとも取れるものであり、ブランドとしては矛盾する面もありますが、適切なバランスを取りながら発信を続けていきます。 ブランドの第一の目的は、素晴らしい服、美しいものを作ることです。環境や労働問題への取り組みは副次的なものですが、これらの活動とブランドのビジョンを結びつけていきたいと考えており、このような取り組みが、多くの方々の考えるきっかけになることを願っています。