パリを拠点にする日本人デザイナー、宮白羊の「Hakuyo Miya Paris」を紐解く
ーどういったスタイルやデザインが受け入れられるのでしょうか? フランスと日本では、好まれるデザインやモチーフに細かな違いがありますが、全体的にはパーソナライズされたものの方が受け入れられやすいと感じています。 たとえば、私は日本人として着物の要素を取り入れながら、フランスの生地を使った洋服も制作しています。具体的には、「着物スリーブ」と呼ばれる一体型の袖デザインを採用し、日本的なカットとフランスの素材をミックスさせることで、自分のバックグラウンドと現地の文化を融合させています。 ブランドを立ち上げた当初は、より幅広い層にリーチするために、トレンドやマーケットリサーチに注力していました。しかし、それよりも自分のパーソナリティを強調する方が、ここで購入する意義が伝わりやすくなると気づいたんです。
大量生産の洋服が溢れるなかで、デザイナーとしての私の個性や背景を取り入れた服作りが、お客様から共感を得ているようです。
ーなかでも、特徴的な洋服や思い入れのあるデザインについて教えてください。 この洋服は、ニューヨークでのファッションウィークに登場しました。
特に初回の参加が印象深く残っています。依頼から締め切りまでの期間が非常に短かったため、ほとんど睡眠時間を削って制作に励みました。 締め切り直前、デザインの並びが納得がいかず、思い切って作品を捨て、2日間寝ずに新たに制作し直しました。結果的に納得のいく作品ができ、ショーの最後に披露することができたのです。 ニューヨークファッションウィークでは「グループショー」と呼ばれる、新人デザイナー3ブランドほどで構成されるファッションショーでした。通常、このような新生ブランドのショーは大きく取り上げられることが少ないのですが、私の作品がニューヨークファッションウィークの公式Instagramで紹介されたんです。 これは非常に思い出深い出来事でした。この展示以降、作品を借りたいという依頼が急増しました。 当初は貸し出しに応じていましたが、あまりにも需要が高くなり、少し困ってしまいました(笑)。今では、よほどの理由がない限り、貸し出しはお断りしています。