実質賃金のプラス転換は年末頃(3月賃金統計):物価高の逆風で個人消費は異例の弱さに:円安と日銀追加利上げ
9月追加利上げの条件は
ただし、大幅に増加した賃金が、今年夏場以降、サービス価格に目立って転嫁される可能性は一時的にはあるかもしれない。それを捉えて、日本銀行が9月の金融政策決定会合で、0.2%あるいは0.25%の追加利上げを実施する可能性は考えておかねばならないだろう。 足元で進む円安は、日本銀行の追加利上げを早める要因に働くだろう。しかし、賃金と物価の動向を見極めることなく、円安だけで追加利上げを決める可能性は高くない。零細企業も含めた賃金全体のトレンドを確認できるのは、5月分あるいは6月分の毎月勤労統計であり、それが発表されるのは7月上旬あるいは8月上旬となる。 さらに、日本銀行が重視する賃金からサービス価格への転嫁を消費者物価統計で確認することも必要となる。 こうした点を踏まえると、日本銀行の追加利上げの実施は、7月の決定会合では難しく、最短で9月の会合になると見ておきたい。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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