息子の「中学受験準備」で家計が破綻…生活レベルを落としても、プライドを優先した「専業主婦の末路」
辞めたら二度と戻れない
金銭的な事情だけでなく、息子の学力もいまの塾通いが分不相応であることに気付いたサエさんだったが、ママ友たちに子どもがクラスメイトと同じ塾に通い始めたことを話してしまったため、辞めれば周りは”負け組”の目で見るだろうとプライドが傷つく。それだけは避けたかったとサエさんは訴える。 「ようやくママ友がどの塾に通わせているかを秘密にしている理由がわかりました。入ればライバルが増えて辞めたら負け犬。一度退会してしまったら、二度とそこにはチャレンジできない雰囲気です。 だから、なんとしてでも辞めさせるワケにはいかない。息子の学力を上げるには私が教えるのも限界です。それで補習目的で月1万5000円ほどの個別指導塾にも追加で通わせています。 結局、3つの習い事で月10万円……。夫からは『このままでは早晩破産する。下の娘の学費がなくなってしまう』と言われてしまいました」 夫は学習塾へ通わせることには賛成だが、常軌を逸した金額に驚いているという。その費用を捻出するために、サエさんが働きに出ることも考えたものの、塾への送迎、勉強サポートを考えると手が回らずに難しいそうだ。 「『せめて出費を半分にしてほしい』と夫は言っていますが、始めたばかりで辞めてしまうのは負けた気がして私にはできません。息子の成績さえ良ければこんなことは言い出さないはずです。 思うように伸びない息子の学力のために無理してお金をかける必要はないと”早期撤退”の合図を出されたんです。 でも現段階で、そればまだ早いと私は思っています。1人分の月謝を払えないわけではないし、娘が小学校に入学したら、改めて夫と話し合うつもりです。 今は外食頻度を減らしたり、休日の遊びをお金のかからない公園にしたりして節約しています。洋服は状態の良いものをフリマアプリで購入することも増えました」 本音を言えば、運動が得意な幼稚園に通う娘を体操クラブに通わせたい気持ちはあるが、経済的な理由からグッとこらえている。じつはそれも心の中ではひっかかっているそうだ。 最初のうちは楽しそうに塾に通っていた息子も半年が経過したころから行き渋るようになったり、宿題をやらなくなったり、言うことをきかなくなったりと問題行動もみられるようになってきた。強く叱っても逆効果でサエさんは頭を悩ませている。 「小学校低学年でこれでは先が思いやられますが、なんとかやっていくしかない。お金も時間も費やしているのに、塾をサボろうとするなんて、腹立たしいときもあります。息子に無理をさせているとも思うのですが諦められない。 夫は早期撤退を何度も言いますが、小さいうちから負け癖がつくのは困ります。なによりも私がわが息子が”落ちこぼれた”と周りから思われることが嫌なんです」