コロナで売上げ7割減の大ピンチ、九州のご当地銘菓を作る老舗製菓会社 地方都市で事業を続けていく意味とは
◆自分の強みと家業の強みを掛け合わせる
----「事業承継」について、ご自分の経験から、何か思うところはありますか? 事業承継という言葉には、既存のものをそのまま継がないといけないような印象もあると思います。 しかし、いかに時代に即して変化を取り入れ、新しい事業のあり方を作っていくかが実は重要な部分ではないでしょうか。 仕事を始めた頃、私は自社以外の経験がないことを後悔し、自分は強みのない人間だと思い込んでいました。 でも入社後、10年間家業に向き合い続け、こんな自分でも何かは持っていたようだな、と思っています。 熱量や柔軟な発想といったものかもしれません。 後継ぎの方は、誰にも少なからず自分自身の強みがあると思います。 うまく、家業の強みや歴史の文脈と掛け合わせて、時代に必要されるものを作るか。 それが私なりの「事業承継」の解かなと思っています。
■プロフィール
株式会社後藤製菓 代表取締役社長 後藤 亮馬 氏 1990年、大分県生まれ。大分大学卒。2013年、実家であり1919年から臼杵煎餅の製造・販売を手がける「後藤製菓」に入社。2019年、100周年を記念したブランドIKUSU ATIOを設立。煎餅製造時の副産物を利用しフードロスを解消したジンジャーパウダーで、農水省のフードアクションニッポンアワード受賞。有機農業の推進、地域社会への寄与などにも積極的に取り組む。本質を大切にしつつ時代に合わせて新たなことを取り入れる「不易流行」の精神に則り、臼杵煎餅の可能性を広げるため日々邁進している。