COP29閉幕、「気候資金」年3000億ドル拠出で合意 現行3倍増ながら途上国不満も
また国連のグテーレス事務総長はCOP閉幕に向けた声明で「(地球に住む)私たちが直面する大きな課題に対処するために、より野心的な成果を期待していた」として新たな気候資金の目標額にやや不満を示したが、「この合意を基にさらに上を築くよう訴える」と強調。「年1兆3000億ドル」に向けた努力を各国に求めた。 パリ協定では産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑えることを目指している。しかし、国連環境計画(UNEP)によると、各国が現在掲げる2030年までの削減目標が仮に達成されても今世紀末には2.6~2.8度の気温上昇が見込まれる。このため「1.5度目標」に必要な各国のGHGの削減量と排出実績の乖離(かいり)は大きい。だが、今回のCOP29では、化石燃料の使用削減について「約10年で脱却を加速する」とした昨年のCOP28の合意から大きな進展はなかった。
各国は来年2月までに2035年のGHG排出削減目標を提出することを求められているが、多くの国は現行目標の達成も厳しい現状で大幅な目標の上積みは容易ではない。
米国のトランプ次期政権はパリ協定から離脱する可能性が高い。グテーレス氏は「パリ協定を中心とする多国間主義が(気候変動という)最も困難な問題を乗り越える道筋を見いだすことができることを示した」とも述べた。
COP29は先進国と途上国が対立したまま終わるという最悪シナリオは避けられたが、肝心の「1.5度」目標を達成して気候変動による甚大被害を食い止める具体的な道筋は示されなかった。国際協調が必要な気候変動対策に「待ったなし」の状況の中で、世界第2位のGHG排出国が不在によるパリ協定のほころびが懸念される。COP30は来年11月にブラジル北部のベレンで開かれる。