ヒレステーキ〈仕込み・焼き〉のワザをステーキの救世主『西洋料理 島』の技に習う
ヒレステーキ〈仕込み・焼き〉のワザをステーキの救世主『西洋料理 島』の技に習う
キング・オブ・ビーフの名をほしいままにし、牛肉通から羨望の眼差しを向けられる、それこそ『ヒレ肉』だ。圧倒的にやわらかく、繊細な味わいは最高峰と言われる。今回はステーキの救世主・巨匠と言われる大島学氏が、ヒレステーキの焼き方の極意を教えてくれた。
ステーキの巨匠、肉を語る
極上の和牛ヒレステーキが食べられる店として知る人ぞ知る名店が東京・日本橋の西洋料理『島』。そこでオーナーシェフを務めるのが大島学氏だ。彼は、かつてフレンチを学ぶためにヨーロッパを周り、数多くの経験を経て、現在、店のオーナーを務める。 「うちは和牛であることにはこだわりますが、特にブランド牛にはこだわりません。また、A5などの肉質のランクもそれほど気にしません。ランクに関して言えば、肉の専門家が決めているだけであって、料理人が決めているわけではありませんからね。A4・A3の肉でも十分に美味しいですし、脂の入り方次第でくどくもなります。それよりも、料理に応じて肉を使い分けることが大切だと思っています。最終的に、美味しいか否かは、料理人や牛肉のランクを査定する人間が決めるわけではありませんからね」と熱く語ってくれた。 では、大島流ヒレ肉の焼き方の極意を早速紹介しよう。
ポイントは肉の温度と水分! ステップ1『下ごしらえ』
せっかくヒレ肉を手に入れたならば、素材の味を存分に味わいたい。そのためには、まず下ごしらえが重要。 カギとなるのは、肉の温度と水分。常温に戻してから焼くのが鉄則だ。
専用ナイフを用意しヒレ肉の磨きからスタート!
1頭の牛から約3%しか摂ることができないヒレ肉。1本のヒレ肉の中に、さらに希少部位であるシャトーブリアンが存在する。程良いサシが入り、上品さを漂わせるその肉は、『島』の定番ステーキ肉である。肉と脂の間に白く見える筋がある場合は食感が悪いため、筋ごと脂を取り去る。
水分を逃がさないよう、焼く寸前に塩を振る
ただ焼けば良いというわけでないのが、ステーキのニクいところ。工程数が少ないシンプルな料理だからこそ、下ごしらえが仕上がりに与える影響力は大きい。ここからのポイントは「常温戻し」と「塩・コショウ」だ。焼く前に常温に戻しておくことにより、肉内部の温度が一定になり、加熱した際にムラが生まれなくなる。次に、常温に戻った肉へ塩・コショウをまぶせば、下ごしらえは結末を迎える。