巨人、甲斐拓也の加入でハレーション 功労者・小林誠司はプロテクト漏れ? 内海・長野がダブル流出、2018年の悲劇再びか
巨人は苦戦が続いていたフリーエージェント(FA)戦線で4年ぶりの補強に成功。ソフトバンクから加入が決まった甲斐拓也捕手(32)は、人的および金銭の補償が必要なBランクだ。久しぶりに作成するプロテクトリストからは、チームきっての人気選手が漏れる公算が大となり、功労者がダブル流出した2018年オフ以来のハレーションを危惧する声も上がっている。 (片岡将) 【写真】笑顔で握手する野村克也さんと甲斐拓也(2018年撮影) 阿部慎之助監督(45)が熱望した「絶対的な司令塔」の入団が決まった。甲斐との交渉に当たった吉村禎章編成本部長(61)が「基本的には競い合ってもらうが、彼の実力ならば自然とそう(正捕手に)なるのでは」と見込む通り、来季の扇の要は決まったも同然だ。 ■〝専属〟菅野はメジャーへ 2番手捕手争いも、今季チーム最多72試合で先発マスクの岸田、捕手で34試合と一塁で38試合の兼任だった大城の間で熾烈を極める。一方で36試合に先発した小林誠司捕手(35)は、専属バッテリーを組んできた菅野の米大リーグ・オリオールズ移籍が決まり、余剰戦力となりかねない。 古株の球団関係者は「甲斐の人的補償のプロテクト28人に小林は入らないのでは―と球団内でウワサされています。明るい性格とリーダーシップ、練習熱心さで小林を慕う選手は多いのですが…」と心配顔で話す。支配下契約の捕手6人のうち、岸田と大城のプロテクトは確実。若手有望株の山瀬と小林の両方を守ることは編成上、困難な情勢だ。逆にソフトバンクは甲斐に加えて今オフ、現役ドラフトで若手捕手の吉田も日本ハムに移籍。支配下の捕手2人が流出したことで、巨人からの人的補償に捕手を指名する可能性が高い。 巨人では18年オフ、炭谷銀仁朗捕手の補償で内海哲也投手(現1軍投手コーチ)が西武へ、丸佳浩外野手の補償で長野久義外野手が広島へと、功労者が立て続けに流出。ファンやOBから猛批判を浴びた苦い思い出がある。甘いマスクで女性人気の根強い小林も、甲斐の代わりにソフトバンク行きとなれば、プロテクトから外したこと自体が批判の対象になり得る。 球団OBの一人は「ソフトバンクで構想外になった松田(宣浩)を最後の1年だけ預かって花道をつくってあげた経緯もあるし、今回は逆に王さん(ソフトバンク球団会長)に頼んで小林を引き受けてもらったらいいんじゃないか。不名誉な〝プロテクト外〟のレッテルもつかないで済むし、先に小林をトレードしたうえで、甲斐の補償は金銭のみにしたらいい」と提言。巨人の〝寝業〟の見せどころか。