○力が弱い、○○が遅い人は、将来の要介護予備軍!?【40歳から始める! 健康寿命を延ばす「手力・足力」!①】
最近、ペットボトルのふたが開けづらくなっていないだろうか? こういった現象は将来、寝たきりになる前兆かも。いつまでも自立した生活を送るためには「生活機能」の維持が大事。それには手と足の力を高めておく必要がある。その方法を、理学療法士で東京都健康長寿医療センター研究所・研究部長の大渕修一さんに伺った。
サルコペニアに要注意! 筋肉の衰えは40歳から始まっている
日本人の平均寿命は男性81.41歳、女性が87.45歳で、健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳(2019年厚労省調べ)だ。この平均寿命と健康寿命の差は、男性で約9年、女性は約12年ある。 このように最近よく耳にする「健康寿命」とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活でき、継続的な医療や介護に依存しないこと」をいう。そんな話は親世代のことだと思っているかもしれないが、それは大きな間違いだ。
最近、ペットボトルのふたが開けにくくなった、なんでもないところでつまずくことがある、人よりも歩くのが遅い、階段を上るのがおっくうになったという人は、すでに筋力の衰えが始まっている。将来、寝たきりになる可能性さえあるのだ。 「いつまでも自立した生活ができる健康寿命を延ばすためには、生活機能を維持することが重要です。 今までは、膝が痛い、疲れやすい、尿もれといった愁訴は、『老化だからしょうがない』『もう元には戻らない』と考えられていました。ところが最近の研究で、これらは予防ができるし、いったん体の機能が落ちたとしても、トレーニング次第で元に戻ることがわかっています。 骨がスカスカになるのが骨粗しょう症ですが、筋肉量が減少してスカスカになることをサルコペニアといい、特に女性が生活機能を維持するために大切であると考えられています。筋力や筋肉量の低下は40歳頃から始まり、70歳を越えた頃から生活の動作に影響が出るようになります。65歳以上では約15%がサルコペニアに該当すると考えられています」(大渕先生) 【サルコペニアチェック】 ●握力/男性28kg、女性18kg未満 未開栓のペットボトルのふたが開けられればOK。 ●両腕脚筋肉量指標(SMI・BIA※測定)/男性7.0kg/m²、女性5.7kg/m²未満 ※BIA法:体に微弱な電気を流し抵抗値で筋肉量を推定する方法。 簡単な目安はふくらはぎの周径が男性34cm、女性33cm未満。さらに簡単な目安として両手の親指と人差し指で輪を作り、ふくらはぎのいちばん太い部分を指で囲んだとき、指で囲める場合は筋肉不足だ。 ●歩行速度/1秒当たり1m(1分間で60m)未満 横断歩道を青で渡り切れればOK。 ●5回椅子立ち上がりテスト 椅子から立って座る動作を5回繰り返す。それを終えるまでに12秒以上かかる場合は身体機能が落ちている。 これのどれかに該当するようなら注意が必要だ。今から筋トレをしっかり行うことをおすすめする。