本場「カツオのたたき」大阪で伝えたい 難病と闘う敏腕社長の生き方
自分がこの病気になったのも、何かわけがある
──わらやき屋として大阪初進出ですが? 松村社長 高知県名物の本物の藁焼きのかつをのたたきをぜひ食べて頂きたい。その思いでようやくオープンとなりました。 ──100店舗100業態は、当初は雲をつかむようで実感がないと思われていましたが。 松村社長 「ヴァンパイアカフェ」から、常にオンリーワンの店づくりを心掛けていたので、できないことはないな、と思っていました。ただ、自分1人の力ではなく、自分のビジョンとプランを受け止め、形にしてくれる多くの素晴らしい社員がいるからです。 ──店づくりの発想は? 松村社長 仕事の中に遊びがあって、遊びの中に仕事がある、それがポリシーです。境界線をつくらないこと。それと、「クリエイティブは目から」。見たものがすべてだと思っています。社員を連れて遊びに行く。見たものをインプットしている。それを会社に還元している。それらはすべてお客様を感動させるための要素です。「ベルサイユの豚」という店舗がありますが、電車の中で「ベルサイユのばら」の映画を思い出し、ベルサイユの豚を思いついた。そういうところから生まれてきたものです。 ──大阪の印象を教えてください。 松村社長 グリコ、たこ焼き、なんでやねん、そんなイメージです。食(食い倒れ)のイメージも強く、とくにB級グルメがおもしろい。 ──若年性パーキンソン病についてはどうですか。 松村社長 自分がこの病気になったのも、何かわけがある。その理由はまだわからない。もし病気にならなかったら、自分は業界で1人勝ちしてると思っている。なぜ自分なのか?きっと理由があるはずです。 ──今後、高知への進出は? 松村社長 確かに高知からも出店要請がある。ただ、出店すると、ほかの小さな店がつぶれる。だからお店を出していない。
おもしろい店をもっともっと作りたいんです
一方で、故郷への思いは強く、「よさこい祭り」に参加し、県外のチームとして初めて「金賞」を受賞した。ここにも遊びにも全身全霊で取り組む精神が生かされている。よさこい祭りへの参加は、故郷の活性化に少しでも貢献したいという思いからだが、参加する喜びに加え、勝ちに行くという大リーガー並みのチームを目指し、金賞は快挙となった。 松村社長 会見で甲子園出場チームではなく、大リーグのヤンキースのつもりで行くと話しました。それが夕方のニュースで流れた。ビッグマウスですよね。でも、有言実行です。 外食産業では売上高300億円限界説というのがあるが、同社は突破目前。さらに今後の目標として「1000店舗1000億円」を掲げている。行動指針は「熱狂宣言」だ。自ら熱狂し、お客様も熱狂できる店舗づくりを目指し、その精神は社員たちに受け継がれている。 ──今後の目標として1000店舗を掲げていますが。 松村社長 おもしろい店をもっともっと作りたいんです。店舗づくりは権限移譲で人に任せる方針でやっています。そうすることで、多彩な才能が開花し、イノベーションが生まれ、経営者マインドを持った社員たちが活躍してくれています。 (文責/フリーライター・北代靖典)