本場「カツオのたたき」大阪で伝えたい 難病と闘う敏腕社長の生き方
若年性パーキンソン病をカミングアウト
同社の松村社長は高知県出身だけに、一度食べると、病みつきになる旨さと言える。松村社長は飲食業界の寵児として注目され、「100店舗100業態」の偉業を成し遂げた人物だ。 日本大学理工学部卒業。学生時代のサイゼリヤ(レストランチェーン)でのアルバイトなどを経て、日焼けサロンを手掛け、2001年、外食産業に進出した。立地や店舗ごとに業態を開発するマルチコンセプト戦略を掲げて急成長を遂げ、2007年3月には大証ヘラクレス(現ジャスダック)上場。2008年1月「外食アワード2007」を受賞。そして2010年10月に「100店舗100業態」を達成した。2015年7月、東証2部から1部に昇格。吸血鬼をテーマにした居酒屋、土佐料理、フレンチまでジャンルは幅広く、今も成長を続けている。 100店舗100業態は、チェーン店が常識の外食産業では、荒唐無稽であり、絶対不可能とも言われる方針だった。また、「外食産業のファンタジスタ」と称される松村社長は、昨年刊行の小松成美著『熱狂宣言』(幻冬舎)で、若年性パーキンソン病をカミングアウトし、同書は約10万部に迫る勢いだという。 この病気は原因不明の難病と言われ、完治のための治療法は現在のところ見つかっていないという。5年は進行を遅らせることも、薬の効果を期待することもできたものの、それが過ぎた今、病状は急速に進んでいるようだ…。 この病気を公にし、「これから何が起ころうと、決して屈しない。熱狂こそ、与えられた試練に対する答えだ」と、松村社長は言っている。すべては飲めや歌えやの高知気質が原点であり、屈指の精神力で今も同社を牽引している。レセプションでは、不自由な身体を忘れるかのように、社員たちと一緒になって踊って場を盛り上げた。盛大な拍手が沸き起こり、その姿はまさに「熱狂宣言」そのものだった。 パーキンソン病の初期症状を自覚したのは、2005年春のこと。病状が進んで深刻化しているのは、ここ1年くらいだという。そんな松村社長に病気のことや今後のビジョンなどを聞いた。