現代の男らしさを考える「ロエベ」 情報過多の時代が生んだスタイルの“コラージュ”【2024-25年秋冬メンズコレまとめ】
アンダーソンが考える現代の男らしさ
ショー後の囲み取材で、アンダーソンはマスキュリニティーに対する考え方について「もはや1つのチャネルでは語れなくなった。以前のファッションの世界では、『ああ、このムーブメントが今は起こっているんだ』という感じだったが、もうムーブメントは存在しない。かつてストリートにあったサブカルチャーは今やオンラインにあり、異なるタイプのセクシャルなサブカルチャーやセレブカルチャー、あるいは自分自身をアピールする新たな方法が生まれている。だから、『今シーズンは黄色が流行る』みたいなことは、もう通用しないだろう。服は自己ブランディングの全体像を輝かせたり、外の世界からどのように認識されたいかを示したりするもの。そこには、これまでとは異なる心理がある」とコメント。「それが将来的に何を意味するかは分からない。ただ、私たちが今いる場所、そしてこれから向かって行く場所という意味で、ブランド、セレブ、消費者、モデル、テレビ、ドラマシリーズ、映画などあらゆるものがハイブリッドされてメディアのコラージュのようになり、単一のプラットフォームに集約されていることはエキサイティングだと思う。それは瞬時に自由をもたらしてくれるし、突き詰めると、ファッションのゴールは未来を予測するものだから」と話した。
アンダーソンも語ったように、情報過多の社会で価値観が多様化する今、男らしさの定義をひとまとめに表現することは難しい。今季は、さまざまなブランドがあらためて「現代のマスキュリニティーやダンディーとは何か?」に向き合ったシーズンでもあったが、「ロエベ」はショーを通して説得力のあるメッセージを提示した。