【薬剤師解説】更年期障害のホットフラッシュやほてり…漢方薬で軽減できる?
ホットフラッシュは、更年期障害のつらい症状の1つで、いつ起こるかわからないので日常生活に支障をきたす場合もあります。辛い更年期のホットフラッシュを、お薬で症状を軽減できたらいいなと思いませんか? 今回は、ホットフラッシュに処方される漢方薬について、薬剤師の西さんに解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
更年期障害で起こる変化とは?
編集部: 更年期障害はどうして起きるのですか? 西さん: 女性の平均閉経年齢は約50歳で、閉経の前後5年間の合計10年間を更年期と呼びます。閉経を迎えると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下することに加えて身の周りのストレスも重なることで、更年期障害が起きます。症状の軽い人もいれば、身体だけでなく心の不調を訴える人もいます。 編集部: 更年期障害の症状について教えてください。 西さん: 更年期障害の症状は、大きく3つに分類されます。1つめは、ほてり・のぼせ・発汗・ホットフラッシュのような血管拡張に伴う症状です。2つめは、不安・イライラ・不眠・気持ちの落ち込みなどの精神症状があります。3つめは、めまい・動悸・頭痛・肩こり・冷え・疲れやすいなどのそのほかの身体症状です。 編集部: よく耳にするホットフラッシュも更年期障害の症状の1つなのですね。 西さん: ホットフラッシュは、 ・気温に関係無く急に汗がでる、体や顔がほてる(手足だけが冷える) ・突然激しい動悸がする ・寝ている間に、大量に汗をかく といった症状が現れます。いつ起こるのかわからないので、日常生活に不安を感じることも多いのです。実は、更年期以外のライフステージでもこれらの症状が現れる場合もあるので、注意しましょう。
更年期で起こるホットフラッシュ…漢方薬で改善できる?
編集部: ホットフラッシュの原因は何ですか? 西さん: エストロゲンの分泌低下によるホルモンバランスの乱れや、ストレス・睡眠不足などで自律神経が乱れて交感神経が優位になることが原因です。 編集部: ホットフラッシュの予防法・対策はありますか? 西さん: 有酸素運動で副交感神経を優位にしてストレスを解消したり、交感神経を刺激するカフェインの摂取を控えたりするようにしましょう。また、エストロゲンと構造の似ている大豆イソフラボンを含む食品を取り入れ、バランスのとれた食生活を心がけましょう。もしホットフラッシュが起きてしまったら、腹式呼吸や首周りを冷やすのが効果的です。 編集部: ホットフラッシュの主な治療法を教えてください。 西さん: ホットフラッシュにはホルモン補充療法が有効です。飲み薬だけでなく、貼り薬や塗り薬もあります。それ以外に、漢方薬も選択肢の1つです。 ・ほかの病気の治療中でホルモン補充療法ができない ・自分の体質や症状に合った漢方薬を試したい このような場合には、漢方薬がおすすめです。 編集部: ホットフラッシュは漢方薬で改善できますか? 西さん: きちんとご自身に合った漢方薬を服用すると、ホットフラッシュの症状を軽減できる可能性があります。漢方薬は体質に合わせて使うので、同じ症状を訴えていても使う漢方薬が変わってきます。効果を感じられなかったり味が苦手で服用できなかったりする場合は、医者や薬剤師に相談してみましょう。 編集部: ホットフラッシュにおすすめの漢方薬は? 西さん: 「加味逍遙散(かみしょうようさん)」は、虚弱体質で不安やイライラのような精神症状からのぼせる場合に効果的です。「知柏地黄丸(ちばくじおうがん)」は加齢に伴うほてり・のぼせ・口渇・疲れやすいなどの身体症状が主な場合におすすめです。比較的体力はあるが冷え性で、頭痛やめまい・肩こりがあるときには「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」、比較的体力はあるがイライラが目立つようなときは「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」が効果的です。